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第2話

リノリウムの床を歩く度に、新品の上履きが音を立てる。 キュッキュッ、という神経を逆撫でするような不快な音だ。 二年生に上がったばかりだというのに転校、というおかしな状況に誰も疑問は持たない。 正確には、疑問を持ってはいけない。 この学校の公にされない最も重要な項目、不可侵というものを冒してしまうからだ。 『聖玄華高等学校(せいげんかこうとうがっこう)』言わずと知れた、全寮制のお金持ち学校だ。 しかし、ただのお金持ち学校ではなく、勉強、運動において優秀な者は推薦で入れる。 お陰で勉強、部活動共に有名な成績を残している・・・と下調べした内容には書かれていた。 そして、重要事項。家のことを持ち出さない。まだ子供だから、実家のことは関係なく隔離された環境で健全な学校生活を、ということらしい。 先生の後ろ姿に眠気を誘われながらも足を進める。 ぴたりと歩みを止めたことによって、あぁ、着いたのかと理解した。 2-3、学校によっては学年とアルファベットで表されるところもあるらしい。 なんて、無駄なことを考えていないでいつものように、笑顔を拵える。 あぁ、逃げたい。 そう思っていると、先生はガラッと扉を開ける。 「皆さん、今日から新しい子がクラスに入りましたよー!」 先程とは別人のように、ハイテンションな先生。 ・・・あぁ、馬鹿みたいだ。 この人も、私も。 自嘲めいた溜め息を、気づかれないようにそっと吐く。 一歩踏み出してしまえば、あとは勝手に前に出る。 やれるか、ではなく、やらなければならない。 私は斎藤湊なのだから。 「初めまして、斎藤湊です。これからよろしくお願いしますね。」 私はとっておきの笑顔を浮かべ、硬直した。 あぁ、これは確かに・・・白い。
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