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第1話

くしゃりと癖のように髪を撫でると、いつものように髪は指に絡まずにするりと解けた。 あぁ、そうか。髪、切ったんだった。  一ヶ月ほどたったというのにまだ慣れない。きっと今まで髪の毛が短かった経験がないからだと思うけど。 「斎藤(さいとう)(みなと)さん・・・ね。貴女は2-3ね、あと寮は今日からだったかしら?」 「はい、そうです。」 髪の毛を一つに結わえたこの女性は私の担任だという。 いかにも真面目そうな風貌だ。 興味なんて、ないけど・・・ 「これ、入り口のセンサーに翳すと入れるから。」 そう言って渡された鍵には紫陽花のキーホルダーが付いていた。 センサーが内蔵された鍵とは、流石名門高校というべきだろうか。 「ありがとうございます。」 「知っているとは思うけど、貴女の寮は紫陽花だから。」 笑顔を浮かべると、温度のない瞳でそう返された。 あぁ、どうりでこの人が私の担任な訳か。 妙に納得してしまう。今更何も思いはしないけれど。 「あぁ、あと・・・」 「・・・?」 「うちのクラス、白い子がいるの。」 「・・・??」 白い子、心の中で復唱するが、いまいちピンとこない。 「えー、っと・・・」 なんて言おうかと迷っていると、先生は一向に変わらない表情で再度繰り返す。 「白い子、見れば分かるわ。多分びっくりすると思うけど、あんまり顔に出さないように。あと、分かってると思うけど「深入りしないこと、ですよね。わかってます。」」 全くの作り笑いを浮かべると、相変わらず表情を変えることなく先生は頷いた。 「じゃあ、行きましょうか。」 先生は初めて笑みを浮かべる。 その笑みが今までの能面のような無表情よりも、よっぽど冷たく感じた。 あぁ、気持ちが悪い。 吐き気を堪えて、私もそれに倣って笑みを浮かべた。
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