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第21話

 強烈な快感が過ぎ去ってその火照りが鎮まりかけた頃、それまで中に差し込まれていたものがゆっくりと引き抜かれた。名残惜しさを感じてしまい、つい声を漏らしてしまう。 「あ……」  その声は震える吐息とともに唇の合間から漏れた。全身が重くて動けなかったけれど、視線だけを彼に向けると、指を口もとへ運んでいる姿が見えた。その指は付け根まで濡れていて、それを彼はためらうことなく口に含んで味わうように舐めている。その姿を眺めていると、彼と視線がかち合った。そのとき、それまで膣内に差し込まれていたものが、彼の指であることに気が付いた。そして彼が目の前で舐めしゃぶっているものは、恐らく――。  恥ずかしくて見ていられない。それなのにその動きを目で追いかけてしまう。彼も私を見つめたまま、むしろその姿を見せつけるように指を舐めていた。肉厚の舌を指に這わし、ねっとりとした動きで舐めとる姿は、余りにもいやらしくて直視できない。でもその姿に静かに興奮していることも事実で、その証拠にそれまで指で弄られていた場所が疼いてきた。  それが彼に伝わったのかもしれない。彼が私を見つめる瞳が熱を帯びてきて、口から指を抜いた後にじり寄ってきた。目の前で彼が私の中に入り込もうとしている。そこに硬いものがあてがわれたとき、その硬さと熱に思わず息をのむ。  彼が私を見つめながら入ってきた。体が開かれていく感触に緊張が走る。彼が覆いかぶさりながらゆっくりと入り込んできて、それとともに圧迫感と熱が迫ってきた。そして彼の体が完全に覆いかぶさったとき、突然鈍い痛みが走る。 「いっ……」  腰に響く鈍い痛みに耐えかねて、彼の体にしがみ付いた。体がこわ張り、痛みで腰に力が入らない。自分以外のものを体の中に入れている違和感と、そのものに対する異物感があいまって、痛みを助長させているような気がした。すると彼が両腕で私の肩を抱きしめる。 「悠里、息をして。ゆっくり深呼吸するんだ」  その声が聞こえてはいたけれど、うまく呼吸ができなかった。浅い呼吸を繰り返し、どうにか痛みを逃そうとしたけれど、一向にそれはなくならない。それどころかどんどん痛みは溜まっていく一方で、とにかく早く終わってほしかった。  熱の塊は体の奥へと痛みを伴いながら、ゆっくりと入り込んでいる。その痛みに耐えきれず、震える体を叱咤して意識的に深呼吸を行うと、一息吐き出すごとに痛みは薄れていった。だけど接している場所はじくじくと痛み続けている。  そして抱きしめていた彼の体から力が抜けたと同時に、彼が大きな息を吐いた。汗で濡れた体がゆっくりと体を起こす。様子を窺うように見上げてみると、彼が荒い息を吐きながら険しい表情を浮かべていた。額で濡れた額には乱れた前髪が張り付いている。 「入った……」 「え?」 「全部、入った……」  苦しそうな呼吸の合間に発した声は途切れ途切れになっていて、苦しい状況にあることだけははっきり分かった。だけどなぜそうなっているのか分からない。私に関しては痛みはまだ残ったままになっているけれど、痛みに慣れてきたのかさほど辛くはなくなっていた。彼の額に張り付いた髪を払うと、それに気付いた彼が嬉しそうな顔をする。その表情を見たとき、無意識のうちに笑みで返していた。 「悠里、がんばったね。いい子だ」  彼が笑みを浮かべたまま顔を近付けてきて、そのまま触れるだけのキスをする。触れるだけのキスは一度に留まらず、何度も優しく口づけられた。そのとき胸の奥から温かいものが溢れてきて、それまで感じていた筈の痛みを消してくれた。思わず彼の背中に腕を回し抱き着くと、私の中に入っているものがピクンと動いた。恐る恐る体を離し彼の顔を見上げると、拗ねたような表情を浮かべていた。そしてすぐに抱きしめられる。  悔しそうな彼の声が耳のすぐ近くから聞こえてきた。その後彼がゆっくりと体を動かし始める。荒い息遣いがどんどん辛そうなものへ変わり、彼の動きに合わせ引きつるような痛みが走った。だけどそれだけじゃないものもあって、そちらに意識を向けると痛みが和らいだ。それはとても温かくて、彼が動くたびに熱を増していく。 「悠里……」  苦しそうな声が聞こえた直後、突然唇を塞がれた。彼の舌が唇の間から入り込んできて、貪るように私の舌を絡めとる。切羽詰まったような荒い息を吐きながら、彼はきつく私の体を抱きしめた。繋がっている場所が熱くなりついには疼き始めた。無意識に彼の腰に脚を絡めると、更に奥へと彼が入り込んできた。彼が動くたびに振動が奥へと響いて、そこが疼いて潤みだす。  そして彼の体がびくびくと痙攣し始めた。切羽詰まったような彼の息遣いと苦しそうなうめき声が聞こえる。彼の体を抱きしめると、皮膚の下がわずかに引きつったように震えていた。それを宥めるように撫でていると、私を抱きしめる腕から力が抜けたと同時にぐったりとなっていた。 「……大丈夫、ですか?」  恐る恐る尋ねると、苦しそうな息を吐きながら短い言葉で答えてくれた。 「なんとか……」  しばらくそうしていると、彼の呼吸が穏やかなものへ変わり、それと同時に私の呼吸も落ち着いてきた。彼は私を抱きしめながら、ゆっくりとそれを引き抜こうとする。それまでぴったりと収まっていたものが離れようとしているとき名残惜しさから、思わず引き留めようとした。 「や……」 「悠里?」 「出て行っちゃやだ……」  子供がねだるように彼の体にしがみつくと、彼は動きを止めてまた大きな息をはく。彼が体を起こし汗を滴らせた顔を向けてきた。 「俺もずっとこうしていたいんだが、もう朝だぞ、悠里。眠ろう」  ほらと横を見るよう促され、そちらに目を向けると窓の外に広がる空が白み始めていた。その隙に体の中から引き抜かれ、それを引き留めようと彼の体にしがみつく。すると宥めるように背中を撫でられた。 「風呂に入りたいところだが、起きたら一緒に入ろう」  それに頷いて答えると、彼に抱きしめられた。彼の腕の中は温か心地がいい。温かな体温に包まれ、吸い込まれるように眠っていた。
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