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第20話

 触れるだけのキスを繰り返しているうちに、胸が切なく痛み出し息苦しくなり始めた。唇にかかる彼の息づかいが徐々に荒々しいものに変わる。口づけの深さも増していき、互いの息を奪い合うような激しいキスになっていた。彼の体が熱を帯び始め、背中に回した手のひらからそれが伝う。私の体も火照ってきて、切ない気持ちになっていく。  舌を絡めている間に彼の手が胸に伸びて、遠慮がちに揉み始めたとき思わず声を漏らしていた。彼の唇が離れていって、首や喉に這わされる。くすぐったさを感じていたけれど、やがて違うものへと変わっていった。彼が唇を押し付けた場所が熱を帯びていき、肌の下で眠っていた何かが目を覚ます。体の内側からこみ上げてきたものは、甘く切ない痛みだった。その痛みはどんどん数を増して、全身へと広がっていく。  彼の唇が胸元にたどり着いたとき、それまでやわやわと揉まれていたふくらみをすくい上げられた。顔を埋めた彼が、感触を味わうように頬を摺り寄せている。寄せられた胸に埋もれているせいで、彼の表情が分からなかった。恐る恐る彼の頭に手を伸ばし、髪に指を潜らせ頭を撫でると、胸の皮膚に吸い付かれた。 「あん……」  自分のものとは思えないほど、甘ったるい声が吐息とともに出てしまい恥ずかしかった。彼の頭を撫でていた手で口を覆い隠す。だけど幾ら声を押さえても、今度は鼻からか細い声が漏れていた。 「ん……っ」  彼が音を立てながら肌に吸い付くたびに、その声は漏れていた。そして彼の指がそこに触れたとき、我慢できなくて息を吐き出しながら声を上げていた。 「はぁ……っ」  硬くなっているところを指が掠めるたびに、勝手に声が出てしまう。敏感になっているそこは、どんな刺激でさえもひどくもどかしい快感にすり替えていた。それをどうにかして逃そうとするけれど、体の奥へと吸い込まれどんどん溜まっていく。不規則な動きで掠められ、先端がじわじわと疼き始めた。痛いくらいに硬くなったところを、新しい痛みと快感で塗り替えてほしくてたまらない。 「触って……」  吐息とともに漏らした言葉は、余りにも濫(みだ)りがましいものだった。幾らそれが本心であったとしても、口走った直後深い後悔と羞恥に襲われ泣きそうになっていた。そのとき唇が触れているところに、ふっと空気がかかる。 「いいよ、いっぱい触ってあげる」  彼が体を起こしたようで、重みが胸から離れた。と思ったら、ピンと立ち上がっているところが熱くなり、それからすぐに痛みが走った。 「きゃ……っ」  それまで恥ずかしさの余り閉じていた目が開き、天井が見えた。 「すっかり硬くなってる」  それからすぐにまた熱くなり、転がされるようにされて、そこからもどかしい快感が走る。耳に入った音で今の状況がどんなものであるか、ようやく把握できた。そこの根本を唇で挟みながら、熱い舌で捏ねくられている。そして空いた方は、まだふにふにと弄られていた。それが分かった途端に体の奥から何かが染み出してきて、その感触がもどかしくてたまらなかった。それから逃げたくて腰を動かせば、彼の体がそれを阻む。  そうしているうちに彼の唇がそこから離れ、乳房から腹へそして臍の辺りへ降りてきた。柔らかく唇を押し付けられているうちに、もどかしい疼きが心地よさに変わり始めていた。  それから起きた出来事は、私には衝撃的過ぎた。ぺたんこのお腹に彼が唇を押し付けながら 両脚をゆっくりと持ち上げる。今まで誰の目にも触れさせたことがない場所に、ひんやりとした空気が触れた。それに驚いてしまい腰を引こうとしたけれど、しっかり押さえつけられているせいでできなかった。  不安を感じているさなか、彼の唇がどんどんそこへ近づいていく。すっかり熱を帯びている場所が、ひくひくと収縮を繰り返しているのが分かる。そしてその奥から温かいものがまた染み出てきて、その感触に体を捩らせた。 「濡れてる。ほら分かるだろう? どれほど自分が濡れているか」  嬉しそうに声を上擦らせ彼が話す。彼の手が太ももに掛かりゆっくりと左右に開いた。持ち上げた腿に吸い付かれ、そこを濡れた舌先でなぞられたとき、まるで強請るように腰を揺らしてしまう。すると彼の唇が肌の上を滑るように降りてきた。どこへ向かっているのか分かったとき、脚を閉じようとしたけど押さえつけられているせいでできなかった。彼の息遣いを両脚の間で感じたとき背筋を震えが駆け上がり、それに耐えきれず声をあげていた。 「あ……っ」  火照った場所に柔らかなものを押し付けられた。その感触に驚いてしまい、思わず腰を引いてしまったけれど、尻に回された手で阻まれる。敏感になっているところをなぞられて、聞くに堪えない水音が立ち上がり、その音から逃げようと顔を背ける。だけど否が応でもその音は、耳に入ってきた。 「すっかりびちょびちょだ……」 「やあ……っ!」  彼が触れているところが熱くてむず痒くて、無意識に腰を揺らしてしまう。その動きがもっともっとと強請っているようで恥ずかしい。むず痒さは疼きを伴う淡い快感に変わり、やがて下腹の奥がしくしくと切なく痛み始めた。大きく左右に開かれたその奥で彼がしていることが、触れられている場所から伝ってくる。  チロチロと小刻みに舐めている熱い舌と、ずくずくと疼きだしている場所を掠めているのは多分彼の鼻先だ。それを左右に動かされているうちに、疼きが快感に変わる。その快感が走った瞬間腰がビクッと跳ねて、つま先まで震えが走った。その衝撃が強すぎるからか声が詰まる。  切れ切れに快感を植えつけられ、それについに耐え兼ね涙が溢れた。恐れや不安、驚きが涙に交じって押し流されていく。押し流されたものはそれだけじゃない。理性の裏に潜んでいる本能を覆う硬い膜。彼の愛撫によってそれが溶かされて、涙と一緒に流れていった。  それまで体の内側で膨れていたものが、涙を流したせいで勢いをなくしていく。そして快感をありのままに受け入れられるようになっていた。淫らに腰を振りながら、快感を追いかける自分の姿が頭に浮かび、更に体が熱くなる。体の芯が溶けかけているイメージが頭に浮かんだ。溶けたものがとろとろとあふれ出し、それに彼がむしゃぶりついている。その様が浮かんできた、そのとき。  あふれ出たものでまみれた場所で、空気がかすかに揺れた。彼がかすかに笑ったような気がして、その揺れで現実に引き戻される。体の内側は熱く火照っているのに、表面がひんやりとしていて汗をかいていることに気付いた。そして息苦しさと気だるさを吐き出すように大きく息を吐く。 「大丈夫?」  気遣うような声が耳に入ってきて、ため息とも呟きともつかない声でしか返せなかった。 「はい……」 「少し休む?」  言葉の意味が分からず、つかの間考え込んだ。幾ら体の感覚が戻りつつあるとはいえ、未だに体は火照ったままにになっているし、ふだん通りに頭が働かない。でも彼の言う通り休憩をとってしまったら、今までの時間全てが消えてしまうような気がした。 「いえ、大丈夫、です……」 「そう? なら続けるよ。少しずつ、ね」  そう言いながら彼は先ほど舐めていた場所を、指先でくるりと撫でた。その直後そこがじくじくと疼きだし、まるでそのタイミングに合わせたように何かがゆっくりと入り込んできた。 「……‼」  その感触に息をのむ。腰を引こうとしたけれど、後ろに手が回されていてできなかった。体が一瞬でこわ張り、意識が向かっていく。それはとても熱くて、接しているところがじりじりと痛み出し、入り口が窄まる。徐々に入り込んできたもの、それは多分――。 「まだきついな。もう少し解すか……」  体を竦めていると、彼の声がぼんやりと聞こえてきた。口を押さえつけている指の間から、震える息が漏れている。息とともに痛みも一緒に吐き出しているのか、一息ごとに痛みが薄れていった。これがもしかしたら破瓜の痛みかと思ったけれど、友人達の話で聞いたものとは、ちょっと違うような気がする。そんなことを考えながらじっとしていると、それは中でゆっくりと動き出した。 (え?)  その動きは友人たちから聞かされるような動きではなかった。父親の官能小説に書かれている動きともまた異なっていて、私は何が起きているのか分からず恐々となっていた。だけどそれは確かに体内で動いている。まるでその中の感触を確かめるような動きで。  そして露天風呂で彼が摩っていたところが急に熱くなり、そこを何かが、彼の舌が触れていることに気が付いた。体がカっと熱くなり、腰を捩らせて逃げようとしたが逃がしてくれるわけがない。尖らせた舌先で転がされるたびに脚がぶるぶると震え、無意識のうちにつま先を丸めてしまう。  中に差し込まれたものが膣壁を擦るような動きになっていて、そこを擦られたときぶるりと震えた。するとそこだけを執拗に弄られるようになり、そこからじわじわと淡い快感が広がっていった。鋭い快感と淡い快感が混ざり合い、それがどんどん膨らんできて絶頂へと向かっていく。体がぶるぶると痙攣し始め、意識が朦朧とし始める。そして快感の波が押し寄せてきて、今度はそれに怯むことなく受け入れた。
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