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第47話

 指が、少し埋まって上下に撫でてくる。細かな震えが湧き起こり、全身に広がっていく。 「何も、感じないの――?」  久嗣が、私を乱しながら近貞に問いかける。  耳朶に甘く歯を立てられて、ぞくぞくと湧き上がってくるものに唇が開いた。近貞は何かを堪えるように唇を引き結び、眉間にしわを寄せている。  ――近貞に、見られている。  ぱん、と私の中で何かが弾けた。それを見計らっていたように、久嗣の指が私も知らない谷奥にあった小さな突起を(つま)んで()ねた。 「ぁはっ、ぁ、ああ――ッ」  雷に打たれたら、こんな感じになるんだろうか。意識が白く弾けて、目の前がチカチカして、体の奥底から何かが湧き上がってくる。とろり、と谷の合間から甘いものが流れ出て、突起を抓(つま)みながら別の指で掻きまわされて、粘着質のある濡れた音が耳に届いて 「濡れてきたね」 「ぁ、や――」  耳にささやかれ、恥ずかしくて止めてほしくて――――それなのに続けてほしくて、嵐のように吹き荒れる何かの中を泳ぐように、乱された着物の中でもがいた。 「近貞様も、聞こえているだろ――? かぐやちゃんの、濡れた音」  滲み始めた視界で、近貞を見つめる。微動だにしていない近貞の唇が、薄く開いていた。そこに唇を押しつけたくて、腕を伸ばす。 「近貞――ッ」  悲鳴のような、けれど掠れてしまった呼び声に、近貞がはっとした。 「ほんとに、このままでいいの?」  久嗣の問いは、私を通り越して近貞の前に落ちた。そろそろと伸ばされた近貞の手が私の手を握り 「かぐや殿――」 「近貞」  膝を進めてきた近貞が首を傾け、私も反対に首を傾けてつないだ手を引き寄せる。  ――ああ。  重なった唇に、あふれた想いが頬を伝う。心が震えて、春先の花の香りのような幸福が体中に広がっていく。深く吸いこんで、体中に行き渡らせて、これが愛おしさだと自分自身に思い知らされる。強い情動のままに、近貞の首に腕を巻きつけて唇を押し付ける。何度も繰り返し、甘えるように唇を唇で噛まれ、返し、抱きしめあう。久嗣が潤わせた谷の奥から、近貞を求める声が響いてくる。
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