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第21話

 掠れる久嗣の声を聞きながら、彼の目の奥が鋭く光ったような気がした。ゆっくりと瞳の中の私が近づいてくる。それは、久嗣の顔が私に近づいてきていると言う事で――。 「っ――」  唇の真下に、柔らかいものが押し当てられる。それが久嗣の唇だと気付いた時には、もう顔は離れていた。 「な、に――」  呆然とする私の腰に、久嗣の腕が回る。引き寄せるように身を重ねてきた久嗣の腕の中に、収められた。 「久嗣――?」  少し垂れている目じりが、さらに下がる。耳の奥で鼓動が警鐘のように鳴り響く。  夜の部屋。  誰もいない。  私と、久嗣――女と男の二人だけの空間で、抱きしめられている。  どうしよう。  どうすればいい。  羽織っていた掛け布を、肩から落とされる。眠る前だったから、私は肌着姿で――。 「かぐやちゃんは、どんな公達の情熱的な文にも言葉にも(なび)かない、高嶺の花って言われているけれど……こんなにあっさりと、俺様の手の中に包まれて」  ゆっくりと、押し倒される。頭を掌で支えられ、床に直接つかないように抱きしめられて 「簡単に、手折ってしまえるんだね」 「っ!」  首筋に、あたたかなものが触れた。裾を割られ、太ももを撫で上げられる。 「ひっ――」  驚愕と恐怖に見開いた目に、泣き出しそうな顔であざけるように笑う久嗣が映った。手のひらが、内腿を撫で上げてはひるがえり、膝に戻る。その先にある女の園に触れようとせずに――。 「抵抗しないの? 悲鳴を、あげてもいいんだけど」  がくがくと、体が震えて声が出ない。前に、不埒(ふらち)にも私の部屋に無理やりに忍び込んで、強引に男女の語らいをしようとしてきた公達がいたけれど、あの時は大きな声で萩を呼んで、暴れまわって逃れることが出来た。なのに、どうして今、私は動くことが出来ないでいるの――? 「かぐやちゃん」
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