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宮廷魔導師長の手のひらの上 1

「異世界で宮廷魔導師やってます」その後のお話。  宮廷魔導師長のルシフェル・コルソンと異世界から召喚されてきた杉浦理都(りと)が結婚したその日、宮廷魔導師の一人である年配者のロウと、すでに寿退職しているかつての紅一点、スワローが珍しく一緒に酒を飲んでいた。 「……魔導師長はうまくやりましたね」 「……なんのことかな?」 「ごまかしても無駄ですよ。まぁ、思ったより慎重だったみたいだけど」  呟くように言ってスワローは一口飲んだ。 「才能を伸ばして宮廷魔導師にし、自分の妻にする、か。国にとっても万々歳ですけどなんか気に食わないです」 「そういうものかの」 「物語のようにとは言いませんけど、君の為なら国を捨ててもいい! ぐらいのがむしゃらさが……って無理ですよねー」 「うまくいったのだからいいだろう」 「わかってないなぁ……」  女心がわからないロウに嘆息するスワローもまた魔導師長の男心については理解していなかった。  ルシフェルは理都の気持ちに当然気づいてはいた。  だがそれがただの憧れなのか、結婚したいと思うほどなのかまではわからなかった。  けれど理都の瞳はずっとルシフェルだけを追っていたから、そろそろいいだろうと思った矢先に国王が崩御した。その後は知っての通りである。あまりのタイミングの悪さに激怒した彼は辞表を出して理都を攫って逃げようと考えていた。  そんな友人の性格をよく知っていた当時の王太子は、絶対に理都を元の世界に帰さない、結婚式の準備もしておくことを条件にルシフェルを慰留させた。 「理都以外はいりませんので縁談は全て潰してくださいね」  にっこりと笑んで王太子に言った科白は恐ろしかった。王太子は即位式を急がせ新王になった。周りからの反発は全てチェックし、ブラックリストを作成させた。魔力を持つ者たちを帰国させたり、元の世界へ帰したりしたことから国力の低下を招いていると考える者たちも出てきた。 (愚かなものだ)  国が喪に服している間に他国が攻めれば周辺国も黙ってはいないだろうが、どうせ攻めてくるならその間にするべきであった。  召喚魔法は多大な魔力を使う。帰還させる時も同様だ。国が喪に服していたのは1年。その間に宮廷魔導師たちは帰還ができない者・帰還する意志がない者を除いて全てを元の場所へ戻した。  魔導師たちが召喚魔法を使わなくてすむ、それだけで国力は増大した。  それに気づかなかった者たちがクーデターを起こそうとしたが全て制圧された。そしてルシフェルは堂々と理都を娶ったのである。
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