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ゆっくりすすむものは着実にすすむ

 気がつくと、シーツの上に寝かせられていた。ぼんやりとかすむ視界に映るのは、ルームライトの柔らかいあかりに照らされた天井だった。それをぼうっとしながら眺めていると、布が擦れ合うような音が足下から聞こえてきた。全く思うように動かない体を捩って、物音がする方へ目を走らせる。すると、は膝立ちになっていた康平さんが、着ていたシャツを脱いでいた。  ライトに照らされたせいで、隆起した胸や見事に割れた腹筋に影ができている。彼は、私が見ているとも知らずに、短パンを脱いだあと、ローライズのボクサーパンツに手を掛けた。そしてそれを脱いだ拍子にぶるんと飛び出したものに、目がくぎ付けになってしまう。それは見たこともないほど、太くて長いものだった。 「みずき? 気がついたか?」  神々しささえ感じてしまうほど、見事に鍛えられた裸身を隠そうともせずに、彼が四つんばいになって近づいてくる。そのせいであれが影になり、よく見えなくなった。  もしかしたら目の錯覚かもしれない。ぼうっとしていたから、見間違いかもしれないと、自分自身を宥めるように言い聞かせた。それだけ一瞬目にしたものは、太くて長かったのだ。幾らとっくに経験済みでも、未知のサイズのものを受け入れるには、度胸と勇気が必要だ。にじり寄ってくる彼を見つめ返しながら、恐々となっていた。彼の大きな手が頬を包み込む。硬い手のひらから伝う熱にほっとすると、こわばりかけた体から力が抜けていく。  やがて彼が覆いかぶさりながら、顔を近づけてきた。そして触れるだけのキスをしたあと、その唇は首筋に吸い付き、胸元まで下りた。音を立てながら肌に吸い付く彼の頭に手を伸ばし、少し硬い髪の毛を指に絡めると、しっとりと湿っていた。  肌に押しつけられた唇の動きを追いかけていると、どんどんそれは下りていく。一瞬嫌な予感がしたが、気のせいだと思うことにして、体に散りばめられる唇の感触を楽しんでいた。だが、嫌な予感ほど当たるものはない。彼が私の両脚をゆっくりと押し開く。キスとお尻と胸への愛撫で力が抜けた体を勢いよく起こすと、彼はなんの迷いもないままに、そこに顔を埋めようとしていた。 「こっ、こうへい、さんっ!」  慌てて呼び止めたけれど、彼は気にも留めることなくそこに顔を沈めた。温かい息が敏感になったところにかかり、その直後強烈な快感が体を貫いた。体が勝手にしなる。体の奥から生暖かいものが、じゅっとしみ出した。 「ひゃ……っ!」  ざらりとした舌の感触が、敏感な突起から伝う。触れられるたび、断続的な熱と疼痛のせいで、腰が勝手に跳ね上がった。やがて疼痛が快感に変わり始めた頃、私はシーツを握りしめ、体を震わせていた。そして濡れたところに指が這わされる。指がそこを撫でるたび、その奥が切ない痛みを伴ってずくずくと疼いた。 「や……。こっ、こうへい、さん。やめ……っ」  幾ら訴えても彼はやめようとしない。許容量を遙かに上回る快感のせいで、体だけでなく思考回路もどんどんおかしくなってきた。ろれつが回らぬ口で、彼の名を呼び続けるしかできない。すると温かいものが溢れるところに、太い指がゆっくりと差し込まれた。異物感と圧迫感に息を詰まらせる。指はゆっくりと中にはいりこんできて、感触を確かめるように、浅いところを摩り始めた。彼が指を動かすたびに、聞くに堪えない水音が聞こえてくる。それと自分自身の力のないあえぎ声も。  そして彼の指があるところに触れた途端、それまでとは違った快感がそこから走り、体が痙攣し始めた。肌から一斉に汗が噴き出し、全身が一気に熱くなる。指が差し込まれたところに力が入ったせいで、その形がはっきり分かるほど締め付けていた。声が出ない。体がこわばる。彼の髪をかきむしり、声にならない声で叫んでいた。ついになけなしの理性が焼き切れたのか、それまでどうにか閉じようとしていた足が、濫りがましく開いただけでなく、腰が勝手に突き上がった。まるで舐めてくださいと言わんばかりに。  するとそれまで差し込まれた指が二本に増えて、更にいやらしい音を立てながら、彼はなおもそこを責め続けた。しかも熱と疼きを発している場所を執拗に舐めながら。さっきのキスといい、いまのこれといい、今まで経験したセックスの中で、間違いなく一番長くされている。  今までのセックスを振り返ると、キスもそこへの愛撫も気持ち良くなる手前で終わっていた。そして挿入したあとだって、私が絶頂に行き着く前に果てていた。  それにお尻への愛撫なんか、生まれて初めてだ。そんなことをされ続けたなら、私は本当におかしくなってしまうかもしれない。それが怖い。 「い、いやっ、お願いっ。もう、変になるからっ!」  声を限りにして訴えると、それまで顔を埋めていた彼が、ようやくそこから離れた。今まで経験したことがない快感から解放されたとたん、全身から力が抜けていく。噴き出した汗のせいで、表面こそ冷たくなっているが、その内側にはまだ熱が残っていた。  どくどくと音を立てながら、心臓が脈打っている。自分自身の心音を聞きながら、両手足を投げ出したままぼうっとしていると、ペリペリと何かを剥がす音が耳に入ってきた。快感の余韻が残った体をどうにか起こすと、両脚のあいだで膝立ちになった彼が避妊具を付けている。それを眺めていると、私の視線に気づいたのか、彼が顔を上げた。その表情は、今まで見たことがないほど険しいものだった。
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