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第51話

 美優が小首を傾げれば、細く長い髪がさらりと流れた。白く滑らかな肌と、栗色の髪。大きな瞳に通った鼻筋。うっすらと開いた薄い唇。細く長い首はうらやましいほどで、鎖骨から下は――滑らかな曲線があるはずなのに、子どもの胸のように平らだ。  八重子は不思議な面持ちで、美優の胸に手を伸ばす。触れてもいいのか指を迷わせれば、美優が「触って」と八重子の耳元でささやいた。美優の胸乳に触れた指は、想像どおりの感触を受け止める。八重子は夢を見ているような心地で、美優の胸に指を滑らせた。  明らかに、女性の胸とは違っていた。 「本当に、男の人なんだ」  八重子のしみじみとした呟きに、美優が恥ずかしそうに首肯した。 「信じられない」  八重子がゆるく頭を振ると、美優の唇が八重子の頬に押し当てられる。 「すぐに、思い知る事になるよ」  美優が、八重子のブラジャーの紐に指をかける。うっすらと肌に残る紐の跡に、美優の唇が落ちた。 「……美優ちゃん」  か細い声で八重子が呼べば、美優が困ったような顔で微笑んだ。 「ごめんね」  美優は何を謝っているのだろう。八重子が疑問を瞳に浮かべると、察した美優が八重子の首筋に顔を埋めた。 「女だって、騙してた」 「……」 「こうやって、八重ちゃんに酷い事をしようとしてる」 「……酷い事、するの?」  八重子の喉が震えた。美優の腕が八重子を包む。 「愛したいだけ」 「じゃあ、酷い事じゃないよ」  八重子も美優を抱きしめた。 「私も、美優ちゃんが好きだよ」  噛みしめるように、八重子は口にした。 「だから、大丈夫」
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