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第49話

「八重ちゃん。八重ちゃんが取られるんじゃないかって思って、怖かった。八重ちゃんの一番でいたかった。誰よりも先に八重ちゃんが甘えて、頼る人になりたい」 「美優ちゃん」  それは自分も同じだと、八重子は喉を詰まらせた。気持ちが先に走りすぎて、胸が塞がり言葉にならない。 「私、八重ちゃんが好き」  美優の告白に、八重子の胸が熱くなる。喜びが溶けだして、体の隅々にまで広がっていく。あたたかな興奮に包まれた八重子は、美優を抱きしめなおした。 「美優ちゃん」  美優の腕が八重子の背に回る。美優はもう泣いてはいなかった。変わりに八重子が涙を流す。想いが通じた喜びと安堵が、八重子の頬を滑り落ちる。それにおずおずと唇を寄せた美優が、しっかりとした眼差しを取り戻した。 「私の正体が何でも、八重ちゃんは受け入れてくれる?」 「うん」  通じ合う想いの先に何があろうと、八重子は動じないでいられる自信を持っていた。美優は少し顔をこわばらせて八重子から離れると、静かに服を脱ぎ始める。  あらわになっていく美優の肌に、八重子の目は吸い寄せられた。愛らしいブラジャーが現れ、それを外した美優が平らな胸を八重子に示す。 「男、なんだ」 「え」  美優の声は、彼女に見とれている八重子の意識に浸透しなかった。 「八重ちゃんは知ってるかな? テレビとかで、たまに紹介されたりするんだけど。その、女の子の格好をするのが趣味の、男がいるって」  現実味を持たない言葉として、それは八重子の意識に届いた。呆然とする八重子に、美優はショーツ一枚の姿となって、繰り返す。 「僕も、それなんだ。柏木先輩に八重ちゃんとキスをしたって言われて、嫉妬した。八重ちゃんを押し倒して、その……無理やりにでも僕のものにしたいと思った。――思ってる」
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