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第40話

 告げれば、どんな反応が返ってくるだろう。  友達としての“好き”だと思われるだろうか。本気の好きだと伝わって、気持ち悪がられるだろうか。優しく湾曲に断られるくらいなら、きっぱりと手ひどく拒絶をして欲しい。 「美優ちゃん」  ネイルの先に美優の笑顔を見つめ、八重子は呼びかける。  このまま、もとの通りに過ごすのが一番いい。けれど今のままでは、美優に頼りすぎて、いずれは面倒くさいと重荷になってしまいそうだ。  美優がいなければ何もできない。  自分に言い訳をして、美優に導いてもらう事を予測し、行動してはいなかっただろうか。美術サークルのチラシを、カバンに入れずに持っていたのも、美優に導いてもらおうという魂胆があったはずだと、八重子は奥歯を強く鳴らした。  なんて他力本願なんだろうと、吐き気が込み上げてくる。体の中におぞましい塊が居座っているようで、八重子は慄然とした。  こんな自分が、美優にふさわしいわけが無い。 「変わりたい」  掠れる声で、叫ぶように八重子は吐き出す。 「変わりたい」  ――女の子がかわいくなろうと努力するのって、男に見てもらいたいからだろ。  ふいに義英の声が蘇った。 「違う」  八重子は頭を振った。  努力をするのは、見てもらいたいからじゃない。もちろん、その意味もある。けれど一番の理由は、少なくとも八重子は、納得をしたいからだった。大切な人のそばにいてもいい人間だと、自分の存在を認め、納得をしたいからだ。  ぐずぐずとしていたのは、美優の傍にいるのにふさわしくないと感じていたから。  そんな自分を気にかけてくれる美優の優しさに甘え、安堵していた。  こんな自分でも、彼女の傍にいてもいいのだと、試すように。  意識をして、そうしていたわけではない。けれど結果として、そうなっていた。  八重子はそれに、気が付いた。  それと同時に、自分に何が足りないのかも自覚した。
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