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第13話

 自分とは違って――。  そう思った八重子は、浮かんだ憂鬱をこっそりと吐き出した。  美優は先輩たちからサークルの連絡を受ければ、すぐに八重子に知らせてくれた。それを聞くたび八重子は迷い、脳裏に浮かぶ礼司の笑顔に誘われる。それを察した美優に「付き合うよ」と背中を押され、八重子は明言をせぬままに、いつの間にかサークルの一員となってしまっていた。 「こんなんじゃ、良くないよね」  なんとなく点けていたテレビを消した八重子は、ころりと横になって呟く。勇気の持てない自分の心情を察し、美優はいつも背中を押し、手を引いてくれている。それに甘えているという自覚はある。いけないという思いもあるのに、ついつい美優を頼ってしまい、彼女に判断を委ねてしまっていた。そしてなし崩しに、彼女もサークルの一員にしてしまった。  ムクリと起きた八重子は、テレビ画面に映る自分の影を見る。画面から、にゅうっと現れた異世界の住人に誘われ、テレビの中に入るとビックリするような美人になっている、というような漫画を、子どもの頃に読んだ気がする。その漫画のように、いきなり美人になれたら、美優に頼らず堂々とサークルに顔を出して、礼司と話もできるだろう。  八重子はそんな空想をしながら、自分の情け無さに呆れた。  美優は何を思って、こんなに協力をしてくれているのだろう。最初の集まりの帰りに、ちょっと気になる人がいるとは言っていたけれど、そんな人がいるそぶりは見受けられない。いつも八重子の傍にいて、色々と気にしてくれている。自分が頼りなく情けないから、目を離せないのだろうか。それで、気になる人の所に行けないのではないか。 「うう」  そうだったら申し訳無いと、八重子は体育座りでうなだれた。美優が傍にいてくれるから、ついつい甘え委ねてしまう。だから余計に、美優は自分から離れづらくなっているのかもしれない。 「ごめん、美優ちゃん」  この場にいない美優に謝罪し、八重子は膝に額を埋めた。礼司の事が気になっているのに、美優がいなければ集まりに参加することも出来ないのなら、いっそのこと行かなければいいと、何度も自分に言い聞かせた。それなのに美優の優しさにつけこんで、サークルに参加し続けている。
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