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第2話

「お待たせしましたー」  圭一のドリアとスープが運ばれた。熱々のそれらを、冷ましながらかき込む。それを、飴子は呆れた表情で眺めた。 「そんなに慌てて食べなくても……午後の講義そんなに詰め込んでるの?」 「ちげーよ、早くプリン食べたいに決まってんだろ」 「あ、そう……」  運ばれてから10分もしない内に食べ終わり、店員に食後のプリンとカフェオレを頼む。程なくして届いた生クリーム山盛りのプリンに、圭一の口角が上がる。 「ここのプリン、追加しなくても生クリーム結構多いと思うんだけど……」 「いや、全然足りない」 「……本気で言ってる?」 「大マジだけど。なんなら、この3倍くらい欲しい」 「見てるだけで胸焼けしそう……あ、すみませんスパイシーチキン下さい!」 「かしこまりましたー」 「お前まだ食うのかよ! って言うか、こっちの目が痛いから辛いのやめろよ」 「そっちが甘いのやめたらね」 「出来るか!」  圭一はカフェオレに更にシロップを流した。散々、パスタにタバスコ1/3本も掛けたことに文句を言っていた口は、小瓶半分のシロップで更に甘くなった液体に酔っていた。その眼前で、飴子は唐辛子たっぷりのフライドチキンに更に七味をかけてかぶりついている。  傍から見れば、変な二人組だと思われるのだろう。語尾を伸ばして話すあの店員もバックヤードの入口で苦笑いを浮かべながら見ている。 「てか、お前が校外で食べるの珍しいな」 「そうね」 「学食の激辛ラーメンに飽きた?」 「いいえ」 「コンビニの激辛シリーズがハズレだった?」 「いいえ」 「じゃあ、なんで」  最後のチキンの骨をお皿に戻して、飴子はおしぼりで口元を拭った。真っ赤に染まった唇は香辛料のせいなのか口紅が濃いだけなのか、圭一には分からない。食べたはずのプリンの甘みが、口内から消えた。 「お見合い、させられるのよ」 「……お見合い」  飴子はスマホを操作すると、画面を圭一に見せた。そこには二人より少し歳上に見える男性が映っていた。お見合い写真だろう。 「別の街で甘味処をやってる所の長男らしいんだけど、お互いの利益のために結婚しないかって」 「うへぇ」 「飴細工は兄が継ぐけど、搬入先に彼の店を……だそうよ」 「……老舗って大変だな」 「まぁね、校内にいたら休み時間の度に連絡くるから嫌になって出てきたんだけど」  ゼミ始まるから学校戻るわよ、と飴子は自分の伝票を持って立ち上がる。慌てて圭一もカフェオレの残りを流して後を追う。
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