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混線したトモダチ ⑤

 藤井の机には彼女がいつか描いた絵が、そのままきれいに残っている。 彼の彼女に対するどんな小さな事でもっていう気持ちが表れたそれは、毎日オレの目にも入っていた。彼女はそれに気が付くと 「わあ! 本当に残してる!」  と言って、自分のカバンの中からペンケースを取り出し消しゴムを出した。 藤井の席に座り垂らしていた髪の毛をパッと背中の方へ払って、彼女は一心に自分の描いた絵に消しゴムを掛け出した。 不思議な感じがした  藤井の席に座る彼女が、とても小さく見えた  彼女への気持ちを彼から感じる事は、この机の絵だけじゃない でもさ… 今はキミの彼はいない… だからさ…… オレと話をしようよ……  顔を上げて……ねえ……… 「消しちゃうの?藤井に怒られない?大事にしてたみたいだよ」 「やだよ…これ、C組の人たちずっと見てたんだよね?恥ずかしい…」 ”ダイちゃん”と書かれた犬の絵を描いていた 「藤井に聞いたんだけど、その”ダイちゃん”って藤井の家の…」 「そうゴールデンレトリバー… スッゴクかわいいんだよ……って、コレ…ゴールデンレトリバーに見えてたかな…」 ここにいたらきっと藤井ならこう言う 「キミの方がかわいい……」 「……!? ちょっとナナオくん、ミズキがいないからってミズキみたいな事言わなくていいから!」 「クスッ… 藤井なら言うだろうな~って… さ……」 「やめて!」 「クスッ…」 ううん…  マネじゃないよエッちゃん……  彼女は何の躊躇いもなしに自分の描いた絵を消して行く キミの彼が大事にしてたものだよ  いいの?そんな事して……エッちゃん… キミの彼が”トクベツ”にしてたものだよ……エッちゃん…… ……彼の”トクベツ”に触れる事も、キミだから許されるんだろうね…… 今はキミの事、見ていてもおかしくないよね……    キミの瞬きを  何かを感じて動く唇を  そして一緒に揺れる襟の奥…… ドキン・・・ ドキン・・ドキン・・ 彼女がオレに笑うのはいつも理由がある時だけで、理由もない彼女の笑顔を見る事が出来るのはオレではない  小さくてしなやかな手  細くて白い指…… 女の子らしいやさしい手…… 彼女がオレに触るのはいつも理由がある時だけで、理由もない彼女の手が触れるのはオレではない  その手で藤井を触ってるんだよね…… ドキン ドキン ドキン ドキン ドキン  彼女の中にいる想い人は オレではな……… ドキンドキンドキンドキンドキンドキンドキン・・  オレの中がキミで 一杯……………      キ ミ に 触 り た く な る …………… 「……?…」 「 ごめん!! 」 ナナオくん 急にどうしたんだろう…… ………トイレ?…… 別にあんな…”ごめん!”なんて言わなくていいのに…  ヘンなの…… 何となく……  気になって机から顔を上げた すぐそばにナナオくんの顔があったの…… 彼が戻って来るのを待ってたんだけど、バスの時間が来ちゃったから……
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