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Skip 30 混線したトモダチ ①

 キミたちがバスから降りる頃にちょうど来た、ついてない土砂降りだったよね。 なのにキミたちったらバスから降りて持ってる傘を開かないで、玄関まで走るって手段を選んだ。 確かにあの雨風だったら傘は全然役に立たなかったかも…  そのくらい酷い雨だった。  彼は彼女の事をちゃんと確かめながら そして彼女は彼と目が合って、何かを笑いながら話してる。 雨に濡れながら… と言うより、雨を浴びながら… そう言った方がシックリ来るか……。  いつもの朝だったらきっと、普通に話でもしながら玄関までやって来るんだろう。 多分、学校だから手は繋いでないのかな… けれど、今朝のこの不運な土砂降りはなぜかキミたちを笑顔にさせている。 他の者が感じてる”不運”は、彼らにはそうでもなかったようだね。  彼は彼女に手を伸ばしてその手を繋ぎ、彼女の走るスピードを手伝う。 水たまりの上も構わず走り、雨を弾かせやっと屋根の下まで来てゴール出来た喜びをふたりで声をあげて笑い合ってる。  ビショ濡れになった外靴を脱ぎながら、彼女は自分の後ろで同じように靴を上履きに履き替えようとしている彼に向かって、今の興奮が残ったままの大きな声で話をする。 「替えの靴下、持って来てるよ」 彼らの付き合いの度合いがその一言で分かるよね  彼らは玄関ホールの隅っこまで上履きを持って小走りし、そこにカバンを下ろし床に座って濡れた靴下を脱ぎ出した。 彼女は自分のカバンの中から替えの靴下とタオルを取り出すと、靴下を彼に渡して彼の頭をタオルで拭き出した。 長い髪の毛から雫を落している自分ではなく、彼の事を先に。  彼は彼女にこどものように拭かれながら頭をグラグラに揺らされ、また笑う。 濡れた靴下を脱いだだけの彼女の素足は、白くて眩しい。 外の真っ暗な嵐と制服の黒を余計に重く見せる蛍光灯の灯りの中で、彼女の脚は別物のように光ってやけに目立ち、オレはボンヤリと見たまま目が離せないでいた。 「先に教室入ってる 出欠確認しないと…」 旺汰も一緒に彼らの様子を見ていたが、先にここから離れて教室に行ってしまった。 「貸して!」  彼は自分の頭の上にある彼女の手を掴みそう言うと、今度は彼が彼女の事を拭き始めた。 お風呂上りのように頭をガシガシと拭く。 靴下を履こうとしていた彼女は、それが出来なくて手を休めている。 そんな乱暴なやり方じゃ… 女の子なんだよ…  もっとやさしくしないと…… ほら、怒られた…… 「アゴ上げて」  雑音が入り混じる中から時折聞こえて来る彼の声は、自分がいつも聞く聞き慣れた彼の声とは少し違うもののように感じた。 ”トモダチ”として過ごした異性の彼女との時間は、同性である自分とのよりも彼にとっては距離がないという事か。  彼女は顔を上げて視線は自分の足元 替えの靴下を履こうとしている。 ああ… スカートの中気を付けてよって、彼女限定の心配性の彼が言ってる… クスッ… それを聞いて彼女はクルッと壁の方に向きを変えて靴下を履き出した。 チラッと見えた小さな足の指が新鮮で、赤く染まった指先がとてもかわいらしかった。 彼女は特別何かで飾らなくても彼女自身がそのままでかわいい ……いつからだろう そう思い始め、目が離せなくなったのは……
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