150 / 158

”マジック”を侮るナ! ⑦

「エッちゃーん ナナくーーん!」  《 ハッ・・ 》  旺汰と藤井が戻って来た 途中で買ったのか、手には人数分のペットボトルを持っている。 そのまま戻って来たって事はやっぱり… 「スワンもボートもどっちも待ち時間長くて、並ぶの諦めたよ…  アレッ エッちゃん転んだの?」 「……うん、波から逃げ遅れちゃった」 「も~ ヤンチャも気を付けないと… ケガしなかった?」 「ごめん…藤井… オレが悪いんだ……」 「おや… ふたりでヤンチャしたの? 大丈夫だった?」 「……うん」 「どれ、後ろ払ってあげるよ」 藤井… 悪いのは彼女じゃなくて、オレだよ……  藤井は甲斐甲斐しく、彼女が自分で払えなかった砂を払い落してる。 オレは彼女に付いた砂を払ってあげる所か、ちゃんと謝る事さえ出来なかった。 どうしてか分からない 言葉の上に乗っかってる何かにさっきから邪魔されて苦しい。 「ユイに借りた服、破ったらもう貸してくれなくなる… ねえ…どこも破けてないよね」 「!… エッちゃん君、服破くほどヤンチャした事あるの?」  上着にしていたシャツを脱いで、バサバサと砂を落していた。 キミが動く度に一緒に揺れるものだから、眩しくて仕方がない……。 さっきのフワフワ…… 一瞬で自分の全てがキミの中に吸い込まれたようだった 今の自分はキミに吸い込まれた分をすっかり、取り戻せているのだろうか…… お花畑か……・・ 「ずっと前の事だよ!」 「エッちゃん…今度は結日じゃなくて、俺に言って? 服ぐらいいつでも貸してあげるから… もちろん服だけじゃないよ、俺ごと貸してあげるから…いつでも言ってね?」 「……………」  彼らはいつもと変わらない おかしいのはオレだけか…… 旺汰はどこかで取って来たのか、周辺地図を広げて見ていた。 オレは自分の中の表に出す事が出来ない、落ち着かない、そしてさっきから騒いでいる胸が苦しくて、旺汰にすがり付いた。 「!… どうした虹…」 「おやおや…」 「……………ヤバイ……」 言えたのはそれだけ  そして旺汰から離れた 何か別な、言ってはいけないものが飛び出してしまいそうな そんな気がして……   「ああ… 残念 もう少しそうしてくれたら、写真撮れたのに」 「あ!そうだ スマホ首から下げておこう」  彼女は自分のリュックの中に手を突っ込み、中を探り出した。 何を撮るの? オレがキミの事、撮ってあげるよ… そんな彼女に、藤井は隙あらばとくっ付き 「オータくん!ほら!俺たち撮って!」 「ちょっとヤダ ミズキ離れて!くっ付き過ぎ!」 「インダヨ エッちゃん……普段の俺たちを写してもらおう  ネー早くーー」  後ろからまるで襲い掛かるように彼女に抱き付く藤井と、そんな藤井を自分から剥がそうとしている彼女の写真を、旺汰は自分のスマホで撮った。 「……お前たちって、いつもそうなのか?」 「そうなんだよエッちゃんのノリが俺と合わなくて、俺がなおさらエッチに見えちゃうよねえ?」 「ミズキはエッチなの!」 ((ハァ~~… エッちゃん……俺にも言って欲しいなあ……)) 「!?」 「なに? 何か言った?俺…」 「……いや…」 旺汰の声が聞こえたような気がしたんだ 「エッちゃん!せっかくだから、チューの写真とかどう?クスッ この自然をバックに…… ハァ・・・ミズキはそれを拡大でプリントアウトして天井に貼って毎日眺めるよ……ハァ……・・・ ね! エ ッ ち ゃ ん!!」 「ヤダ! 絶対イヤ! ヤダって、ヤダーーッ!!」  自分に抱き付いてる藤井の腕の中で、彼女はカラダを仰け反り顔を左右に振りで一生懸命藤井のキスを回避する。 旺汰はそれを呆れたようにヤレヤレとその模様を撮り収めた。 「……いいの?」 「藤井が止まらないだろ…」  けれど旺汰が写真を撮った所で、彼の興奮は落ち着くものではないらしく、結局彼女が彼から逃げ出した所でその騒ぎが終わったようなモノだった。 ……いや 今度は別の騒ぎが始まった エッちゃん キミのそばにいると、周りのオトコたちは正気で段々いられなくなるようだね……  
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!