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”マジック”を侮るナ! ⑤

[ミズキのエッチ★]  そばに落ちていた枯れ枝で、エッちゃんは波が寄せているギリギリの所に書いた。 さっきの事を書いたのかな… 波が彼女の書いたそれを、湖に誘うように消して行く。 [オータはスケベ★] オレも彼女の真似をして書いてみた。それを見た彼女は 「エー! オータくんが? そんなふうには見えないね クスッ」  目と口を丸くして言った。藤井の言う通り、エッちゃんの目ってマルイんだね クルクルよく動いてかわいいや… いつもは学校の席に座ってだけど、一緒にこうやってそばにしゃがんでいると、本当のキミがどれだけ小さくて華奢なのかと、改めて分かる。 いつも隣にいるのは旺汰だから、余計にキミが小さく 小さく感じる。  学校では気にして見ていなかったけど、細くて白い首にサラッと掛かった後れ毛と、抱きしめるのが怖くなりそうなほどの、女の子らしい小さい肩、そしてその少し上にあるふっくらとしたホッペ… ”かわいい かわいい”か……  そうだね… 分かるよ藤井……  ”ミズキのエッチ”… 藤井がキミとふたりの時、どんなエッチを働くんだろうね… 今度、藤井に聞いてみようかな……クスッ だって… オレ オトコだし、普通に知りたくなるよ そんな事をさ…… ってキミが知ったら、オレの事もキミは”ナナオくんのエッチ!”って、言うのかな…… エッちゃん… オレの付き合ってる相手がオトコだからって、キミはオレをまるで女の子に興味がないヤツだと思ってない?  そんな事ないんだよ…… ……キミから”エッチ”って、言われてみたい…… そう思うオレってヘン? エッちゃん… 「ボート乗り場、ちょっと見て来るね!」  旺汰と藤井はオレたちを残して、スワンの行列を見に行った。 さっきと様子は変わったとは思えない… ナンでまた??? もしかして旺汰… 気を利かしてオレとエッちゃんふたりにしてくれたとか? オマエが藤井とふたりになりたいからとは、カケラも思えないしね…… よく分かんないけど スワンに乗れたらいいな……。  今日の風は緩く、波も静かに寄せては引いてる。 その波のスレスレを行き、ギリギリで波から逃げるという遊びをどちらともなく始めた。  波から逃げながら息を弾ませて話すエッちゃんは、学校での彼女と違って随分幼く感じた。 藤井がいつも見ている普段の彼女は、こんな感じなのだろうか それまでオレの前に建てていた壁をひとつ取っ払ったように、やわらかい表情を見せてくれる。彼女がただ笑っただけで、オレは頭の中の言葉が消えて、一瞬の空白が出来たように止まる。 「旺汰は”むっつりスケベ”なんだよ 見掛けと実際が違うんだズルイだろ?」 「ミズキはね ミズキは……”ハッキリスケベーーッ” わーーっ!」 「ハッキリスケベ? ハッハッハッハッ…確かにその通りだ オット!」  どうしよう旺汰……オレ… さっきから心臓が苦しい…… エッちゃんって本当かわいいんだよ…  藤井のが冗談じゃなく伝染りそうだ 前から何となく感じてたんだけど彼女と一緒にいると、自分の何かが解けて来るんだ 今みたく息が苦しくなって来る ずっと見ていたくなる ずっと彼女を感じていたくなる 何だろう  これ………
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