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Ettyan skip ④

 帰り支度を終えた者が順々に教室を抜けて、廊下で今日の息抜きを始めた音が、この保健室にも聞こえて来る。 ザワザワと……  さ、ナナくん 俺たちも帰ろうか…… やさしいお前は俺がここを出るまでずっと、帰らずそばにいそうだ。…… 三島はそんな彼を離さないのが分かる……。 《 バーーーン !! 》  『!?』  保健室を訪ねる時のマナーとは思えない、勢いよく開いた扉に俺たちは驚いた。 一瞬にして彼との間に出来ていた空気が飛んだ。 「ミズキ!?」 「エッちゃん!?」 「どうしたの?ミズキ アンタが保健室にいるなんて、信じられない位ビックリした どうしたの!?」 「ァ… 旺汰…」 「三島くんに聞いたの アンタの荷物も持ってくれた… 私、持とうと思ったんだけど、重いからって持ってくれたんだよ  ありがとう三島くん、助かりました ホラ、アンタもお礼言ったら?」 「ぁ… ぅ…み…みし……」 「プッ…クスクスクス…」←虹生 「いいよ…そんな……  じゃ、後は鳥海さんに任せて… 行くか…」 「じゃあねエッちゃん… 藤井は大丈夫だよ… 心配ない きっとね……」  保健室の扉が開き、俺たちのいないいつもの放課後の音が噴出したようにここに入って来て、扉が閉まると同時に再びその音は遠くなった。 「ミズキ… どうしたの?どこかおかしいの?」  ベッドにいる俺に近寄るように前のめりになる彼女は、俺の額や頬に手を当てながら話をする。それを辿る彼女の澄んだ瞳を、ずっと見ていたくなる。 俺は君に酷い事をしたばかりなのに、そんな目で見てくれるんだね…… 「何ともないよ… 大丈夫……ごめんね、ビックリさせて」  自分の頬にある彼女の手を取り、指で撫ぜた あたたかくて、スベスベしていて、そして女の子の小さい手だ…… 「本当に? 本当に何ともないの?」 扉の一枚向こう側は、いつもの風景 放課後の一番賑わってる時間 「……エッちゃん…  好きだよ……」 日に焼けた保健室のカーテンは、俺たちも一緒にオレンジ色にしてくれる 「も~ こんな時でもソレを言うなんて……  大丈夫そうだね… クス」 まだ帰りたくない まだ一緒に遊んでいたい そんな事を言っていた時の色 「当り前じゃない おじいちゃんになっても言ってるよ」 「……~……」  まだまだもっと… これからなのに、これからもっと楽しくなるのに…って、別れが惜しくて  また明日ねって、離れてしまうのが寂しくて悲しかったけど、その時の俺たちはきっと一番、一緒にいたい もっと もっと……少しでも… 離れたくない……って、同じ事を思っていた……  そんな事を思い出させてくれる色…… 俺の好きな色だ 君の事が大好き     《 CHU 》
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