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もっと君の中に入りたい… ⑫

突き飛ばされるかな… ”触らないで!” 言われたらどうしよう…… ……それでも… それでも俺はずっと君を追い掛けて行くと思う…… ドキドキしながらうずくまって泣く君に手を伸ばした 自分の手が小さく震えてるのが分かる 君の事を触るのが初めてみたいに……   震える……      エッちゃん……   ダッコしていい?…………… ああ… 自分に出来ていた大きな穴が 今やっと、やっと…… 埋まったような安らいだ気持ち…… 大好き… 大好きだよエッちゃん……俺の…  俺の…… ごめんねエッちゃん…  ミズキは今から悔い改めるから 改心するから そして、君の事をこれまで以上に愛ス・・・ 「アノー… スミマセン… 練習に集中出来ないんで、どこか別の所でお願い出来ませんか…」 このグラウンドの反対側で、小学生がサッカーをしているのは知っていた。 そのクラブチームのコーチらしき大人がやって来て、年下の俺たちに申し訳なさそうに声を掛けて来た。 大事な練習の邪魔になっていたんだ…… 気付かなかったよ ごめんなさい……  久し振りに君と手を繋いで歩いた。 夕方の風に乗った焼き魚の匂いを感じながら、何も話をしなかったけれど繋いだ手だけで胸が一杯になった。 忘れてた… 君と手を繋ぐだけで、こんなに幸せな気持ちになる事を。 このちょっぴり切なくて、アットホームな雰囲気にお腹まで安心して、”幸せだ”って、音を鳴らしてしまいそうだ。  涙が出そうなのを我慢しながら見る夕日は、とっても澄んでてあたたかい色。 ひとりで歩いてる時はきっと見ていなかった。 見てたとしても何も自分の中に残さない。 不思議だね…  ”君ひとり”が俺の色々にすごく大きい事なんだ エッちゃん もう、ミズキはこんな失敗は繰り返さない 君は、俺の全てに染み渡ったよ  彼女の家に着いて 「じゃ、またね」 と言って、手を離そうとした 明日からまた君と登校出来るのが嬉しい。 何でもない事が、堪らなく嬉しい… いつの間にか忘れていた、幸せだ…… 彼女は 「ミズキ…」 俺の耳元まで背伸びをして近寄り 「キスして」 と言った  毎日のように訪れる彼女の部屋は、もう俺の日常の一部になっている 数日空けただけで、もう懐かしい ここは自分の場所でもある  懐かしさと一緒に、守らなければならない大切な思いが込み上げて来た ここから自分がいなくなるのは、イヤだ…… 君がいる風景から、自分が存在しなくなるなんて、絶対にイヤだ…… 「ミズキ 今日は持って来てるの?」 「え…」  カバンの中からポーチを取り出した ”これに大事な物を入れてね” 彼女がくれた、ハンドメイドだ チェックのハートと★柄のかわいいポーチ 「ミズキはカラフルでかわいいのが好きでしょ お店でこれを見てすぐ、ミズキが好きそうって、この布が欲しくなっちゃった  ポーチ作ったからあげる」  うん かわいいの好きだよ かわいいものを見て喜んでる君を見てるのも好き 俺の持ってる、知ってる中で一番のかわいいを君は知ってる? 俺はやっぱりそのかわいいが一番好きでね  そのかわいいしか知らなくてもいい… そう思っちゃうほどなんだ 俺がそこにいなくても、ちゃんと君の中に俺はいる…… ちゃんと 俺は君の中にいるじゃないか…… 「一個入ってた」 制服を脱いだ君が白くて細い腕を巻き付け、ニッコリと笑った 君のカラダごと 君を取り巻く空気ごと 君の中までも 俺はきっと もう、君の中にいる  どんな時も どんな時も…… ああ 大好き 大好きだよエッちゃん かわいい かわいい俺のエッちゃん…  大好…  愛してるよ  愛してる ずっと ずうううううっと……  愛してるから… 君の肌を滑る音が聴こえて来る… もっと君の中に入りたい…   終
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