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もっと君の中に入りたい… ⑪

 彼女はいつものコースを辿らず、母校の小学校グラウンドに入って行った。 エッちゃん、君は何をするつもりでいるの?  自分の顎の高さまである鉄棒の所まで行くと、そこにカバンをドスンと置いて、鉄棒に片手を掛け仁王立ちしながら俺の事をジッと見た。 「あ…  あの…さ…… エッちゃ…… !!」  俺が声を掛けたすぐに、彼女は地面を勢い良く蹴り上げて スカートなのにお構いないのが、君らしい… 腰の上にスカートが乗ってしまい、黒パンのオシリが丸見え クルッと頭が上に行き、鉄棒が骨盤にガンッと当たって逆上がりを成功させた 着地すると再び鉄棒をギュッと睨みながら握り直し、また逆上がり だけど今度は着地しないで浮いたまま脚を前後に振り、勢いを作り始めた。 「エッ…エッちゃんもういい……やめて…降りてよ」 彼女は脚の振りをやめない そして、浮いたままクルリと一回転した 「エッちゃん もうやめて!」 「ミズキはこの前私が何回もやめてって言ったのに、やめてくれなかった!」 脚を振り子のよう勢いを付けてまた一回転 俺を無視して彼女は続ける 「……ごめん… 本当にごめん……悪かったと思ってる…」 「ミズキはやっぱりズルイ!」 俺はあの時、アレの失敗ばかりが頭にあって、君にちゃんと謝っていなかった 「ミズキは私の声が聞えてない時がある! 私の事、ちゃんと見てない時もある! そんなミズキはキライ!  私の事もっと信じて! どんな事があったって、私のトクベツはミズキだけなんだって、”エッちゃんのトクベツは俺だ”って、どうして分からないの!? こんなに、こんなに私はアンタの事を思ってるのに! ミズキのバカヤロー!  そんなミズキは好きじゃない!!」 「エッちゃん……」  彼女はそう言い終えると、再びクルリと一回転をした クルッと回って頭が上に行った時に、彼女を追い掛けるような涙の粒が見えた 鉄棒からやっと降りた彼女は、その場にへたり込むようにして両手で自分の顔を覆って泣き始めた。 君とは長い付き合いだけど、こんなに泣く君を見たのは今が初めて… 俺が…   泣かせた…… 「ごめん 本当にごめん…  君の言う通り、あの時俺は何も見えてなかった 俺は本当にバカだ……」 「ミズキは本当にバカ! 私がどれだけアンタの事が好きで、大事で、そばにいないと寂しいって思ってるのか、全然分かってないでしょう!」 「エッちゃん…!」 「どうしたら分かってくれるの? 分かるまで繰り返すの? アンタはそんなにバカなの? 私はミズキだけだって、横からどんな邪魔が入ったってミズキしか見てないって、いい加減分かれよ!  このドスケベミズキ! 叩いてやる!引っ掻いてやる! 手形付けてやる!! バカ!バカ!バカーーッ!!」 この前、ナナくんが言ってたそのままを彼女は言った 「ちゃんと 私 を見てよ!」 そうだね…  俺は自分の事しか見えてなかった……
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