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もっと君の中に入りたい… ⑨

 ”エッちゃん”はおさげにした髪の毛が、宙に浮くようにクルッと向きを変え、店の前の通りに視線を移した。斜め後ろから見える、女の子らしい華奢な肩が目に入った。 そしてその少し上にあるホッペが、さっきよりも膨らんで見えるのはオレの気のせいかな…… 藤井が言う、”かわいい”が分かるような気がする。 そのやわらかそうなホッペに近寄ったら、甘い、おいしそうな匂いがしそうだね……。 なんて事を思いながら、この前の黒パンを忘れた日の事がダブって、声が出ないように気を付けながら、オレは思い出し笑いをしていた。 「ねえ、新学期の自己紹介の時、藤井が何て言ったか聞いてる?」  ”エッちゃん”は目を丸くして、黙って首を振った。 彼女の素直さがそのままなように、目がマルイ…… 「”僕の好きなモノ… ヒトは、B組のエッちゃんです エッちゃんは俺のかわいいエッちゃんなんで、どうぞよろしくお願いします”」 「!… そんな事言ったの! そう言えば、”エッちゃんって、誰?”って見に来る人がいて、何だろうって事があった! ……ミズキのせいだったのか」 「アッハッハッハッハッ… オレはやっと、俺のかわいいエッちゃんをこんなに間近で見る事が出来て、話まで出来たよ」 そう言うと、彼女の顔が少し困ったように赤くなった  向こうを向きながら”ミズキのバカ”と小さく言った彼女の事が、とても幼い女の子のようでそれがあんまりかわいくて、オレはまた笑い出しそうになったんだけど、女の子相手に笑い過ぎちゃやっぱり変に思われるよな… と、堪えた。それが原因で嫌われたくないしね。 「エッちゃーーん お待たせーーっ イヤ~~ビックリしたよ 中で三島に会って、どうしようかと思ったけど三島の買う物も同じだった…」 「ミズ……………  その……   中が見えない仕様って???………」 買い物袋を見た”エッちゃん”は、ゆっくり後退りしながらオレたちの顔を見回した 「キャーー!  ヤダ!!  ミズキのエッチ! もうヤダッ!!」 「鳥海さん、大丈夫だよ コレはエッチではなくて、愛する人を守る為の俺たちにとって大切で必要なモノ……言うなら…俺 た ち の 愛なんだ それがあるのとないのとでは、全く状況が変わる…… なあ、虹生… だから、こうして買いに…」 「旺汰! 余計な事は言うな! オマエが言うと何かおかしく聞える!」 「何でだよ!」 「あれっ エッちゃん、三島とナナくん知ってるの?」 「藤井、オマエのお陰で”オマエのエッちゃん”とたくさん話が出来たぞ」 「ズルイぞ虹生! 俺は店の中で藤井と品定めしてたんだ」 「……………」 『どうしたの? エッちゃん…』←ミズキ、ナナオ、旺汰 「モ~~ ヤダ!!   帰る!」 『 エ ッ ち ゃ ん !! 』 「藤井ヤバイぞ このままでは俺たちは、ただのエッチなオトコになってしまう!」 「”エッちゃん”旺汰はスケベだけど、オレはスケベじゃないからまたお話しようね!クスッ」 「ナンだよソレ! 鳥海さん!俺は藤井ほどスケベじゃないと思う」 「旺汰!”エッちゃん”は藤井の言う通り、”かわいい”んだ!オマエのスケベは彼女にはキツイ!!」 「ダ カ ラ ナンだよさっきからソレは!  ……お前、彼女の前だからって、清潔ぶったってムダだからな!  鳥海さん、この虹生は(じょ)ソゥ…」 「ワ~~!! 旺汰!コノヤロウ!!」 「チョット チョット… ケンカ? やめてよね……こんな所で恥ずかしいから…… おっと、エッちゃんに置いて行かれる……じゃ、行くね俺…」 「クソウ 藤井! お前が一番ズルイ!」 「藤井のスケベ!」  待ってよ~~ エッちゃ~~~ん…  モウ ヤダ! あんな男の子しかいない所で! エッチ!!  エッちゃん走らないでよ 転んじゃうよ  ヤダ! アッチイッテヨ!   エッちゃん 待ってったら… 『 ・・・・・・・ 』 「アッハッハッハッハッハッハッ… 旺汰、”エッちゃん”は、どうしてここに自分が待たされているのか分からなくて、怒ってたんだ  藤井の言う通り、かわいかった」 「…… 虹生… コレ、見た?  彼女の……」 「なに?」 彼女はこれを書いてたんだ…… [ ミズキのエッチ★ ] ・ ・ ・ ・ ・  ……かわいいな……  やっぱりそう思う?……
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