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★赤ちゃんを作る練習★の前に… ②

 濡れっ放しの髪の毛のままで肩にタオルを乗せて部屋に戻ると、スマホを覗いてたミズキはすぐに顔を上げて、ニッコリした顔を私に見せた。 何年も一緒にいたのに、に出会う度、私の心臓はフワフワとする。ベッドに上がって一番風通りのいいそこの窓を全開にして、風をドライヤー代わりにタオルで髪の毛を拭いていると 「貸して やってあげる」 私の後ろに来たミズキにタオルを取られた。  起きない私を起こしてくれたり、部屋のカーテンを開けてくれたり、そしてお風呂上りのお世話までしてくれたり? 去年の今頃とはまるで違う…… あんまり違って、グイグイと来るミズキに私の方が戸惑ってばかり。 去年までのミズキだったら多分こう… 夏休みの宿題から時々顔をあげて、時々聴こえる葉っぱが擦れるよな静かな声で話し掛けて来るの  「エッちゃん 暑いからアイス買いに行こうよ…」 どこからか聞えて来る芝刈り機の音が、余計に季節は夏を思わせる きっと今の私たちは去年よりも少しだけ、大人に近付いたんだよね 緑の瑞々しい香りがここまで届いて、後ろにいるミズキに似合ってる… とボンヤリ思った。 「今朝はねえ サツキたちとラジオ体操に行ったんだ ずっと”夏休みが始まったら…”って言われてたからねえ… 休みだからって、寝坊も出来ないよ」 髪を拭きながら、背中の方で去年と同じ声で言った。 「サツキくんたちって?」 「サツキと父さんとダイちゃん ……あ、ねえクシどこ?…  いい、僕取る」 ベッドから降りてクシを持ってまた私の後ろに座る ミズキが降りたり乗ったりする度、ベッドが小さく軋んだ。 私は今ミズキに遊ばれてるお人形のようだ 頭の上から髪の裾までゆっくりクシが滑って行く 「サツキくんって今?……  ミズキ…そこまでしなくていいよ……」 「いいの!僕がしたいんだから、エッちゃん黙ってて  ……やっと年少さんだよ…  まだ時々、”オニイチャンいっしょにようちえんいってくれる?” って、言って来るんだよ」 「か… かわいい……」  開いた窓から外からの音が聞えて来るだけで、部屋の中はシンとしてる。 飛行機が飛ぶ音って、夏と冬と違って聞えるよね… 遠くの空から聞えて来る飛行機の音を聞きながら、そんな何でもない話で時間を繋いだ。 ミズキはね、ユイも知らない私が普段部屋で使っているクシが、どの辺にしまっているかまで知ってる男の子……。 だって、ずっと一緒だったもんね……   今日はこれからどうしようか…… 今日はまだ始まったばかり…… クシとタオルが離れる気配がして 「タオル…  !…」  言い掛けの所で後ろから抱き締められて、一緒にそこに転がった。 いつも突然… こっちの心の準備とか何もなし 本当に突然なんだから…… 「ミズ…ッ…」 「エッちゃん… ダッコ……」 私が安心するもの、落ち着くもの、の中に最近ミズキの肩や腕、胸や体温が加わった。 しがみ付いているそこには、いつも彼のそれがあるから。 ミズキ… 今日はまだ時間が一杯あるよ……そんなに焦らなくたって…… 早いよミズキ……    恥ずかしいよ…… 「うっ…」 「エッちゃん好き…」  キスは大分慣れた でも、ついこの前までの私たちは、全然こんな事した事なかったのに なのに、早過ぎない?って思うの 会うといつもこんなコトばっかり…… しなきゃいけないコトじゃないのに……   ”シタクナル”から? 「あっ…」 「好きだよエッちゃん好き」 「ミズ… ヤダ……恥ずかしい」  こういうコトに一番戸惑う理由って、だと思うんだよ あと… やっぱり自分のカラダを触られる事が、怖いって思うんだ。 ミズキはすぐ、カラダを触って来て見ようとするの 「どうして? 僕だけだよ」 どうしてなのかな… やっぱりだから、女の子の事が知りたくなるの? 私も男の子の事に興味がないわけじゃないんだよ それに 自分のカラダにもさ…… でも… なんか 色々… 色々……追い付かないの
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