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第2話

彼が、チョコをやめろと言った手前、私は、 未練を断ち切るようにチョコレートを食べるのをやめた。個包装のミルクチョコレートは、 甘くて、心を一時慰めてくれたものだった。 「美菜」 鷹の声がする。 私はモデルとして描かれながら、すっかり 意識を飛ばしてしまっていたようだ。 「ほら」 包装を破る音がした。 口に、含まされたのは、丸い形をしたチョコレート。でも、これって、甘くない! 「……これって」 「溶けてなくなった? もう一個いっとく? 」 唇越しにチョコレートが、含まされて 苦味を再認識した。 「んん……」 舌が口内を蹂躙する。苦いチョコの味を上書きするように、彼は甘くて、深い口づけを してくる。 息継ぎの合間、唇を開くと、さらに大胆に 舌が口内を貪り味わい尽くす。 「もう、苦くないだろ? 」 脳内が沸騰していた。アルコールを受けつけない私が、食べさせられたのは、ウィスキーボンボンという、チョコレートだった。 彼が、苦味をかき消してくれたけれど、 さらに酔いがまわってくらくらだ。 蒸留酒(ウィスキー)なんて、度数の高い お酒、飲んだこともない。チョコレートと言えど、私には刺激が強すぎた。 彼の貪るような、激しいキスが、酔いを 倍増させて、ふらり、と肩にしがみついた。 「……チョコ奪って可哀想だったから、 美菜へのプレゼントだよ」 「なんで、ウィスキー入りなの? 」 「ちょっと苦いのもどうかなって」 鷹は、意地悪く笑った。 彼はいつも、私をいたずらにからかう。 少し前までは、神経を逆なでられて、 嫌な気分になったものだけど、チョコへの 嫉妬だとわかったら、可愛いと思えた。 チョコレートの味を煙草で掻き消してたなんて。 「わ、私アルコール駄目なのよ。言ってなかったっけ」 子供も食べられるお菓子に酔うなんて、 情けないけど。 「ウィスキーボンボンくらいで、そんなになっちゃうのか」 手鏡で見せられた私の顔は、真っ赤に火照っていた。熟れたりんごみたいになっている。 明らかに、キスが更に酔わせた。 くい、と顎が持ち上げられる。 「でも、美味しかった。ウィスキーボンボン……もいいかも」 チョコレートよりも、お酒の味ばかり 強かったけれど、慣れれば癖になるかも。 意地悪で、鬼畜な遠野鷹に、慣れて 彼なしじゃいられないほど、 酔わされてしまったように。 「好きだな、無駄に強がるとこ。 からかって遊びたくなる」 あっ、と思った瞬間に再び唇が重なる。 彼は、また、ウィスキーボンボンを口に含んでいた。 ウィスキーが、染みたキスが、口の中で広がり混ざりあう。 酔ってしまったけれど、眠くなるわけでもない。ただ、頬が火照って頭が回らなくなる。 それだけだ。 「ん……鷹」 「気分悪くなった? 」 「大丈夫。ぼーっとするだけ」 頬を撫でた指が、首筋をたどり、びくん、とした。 「まさか、感じたの? 」 「ち、違う……」 鷹は、くっ、と笑って肌に手のひらを滑らせた。どくん、と暴れている心臓の音を確かめるみたいに、ふくらみの上で、手のひらを止めた。不覚にもどきっ、とした。 手のひらを置かれている状態で、こんなに胸がざわめくなんて。 「……熱い。それにどくどく言ってる。 もし、今抱いたら壊れちゃうのかな」 「……壊れないと思う」 今まで何度も抱かれ、乱暴にされても壊れなかった。興奮してさらに、身体が疼いただけだ。 鷹は、分かってて言ってる。 抱かない選択肢なんて、ない。 抱かれない選択肢もない。 ふいに、動いた指先が、服の上から、ふくらみをまさぐった。下腹に忍び込んだ指が、 熱くぬかるんだ場所を探り当てている。 瞳を閉じている私は眼裏(まなうら)に、 火花が散るのを感じた。 無意識で舌を動かす。 ほろ苦いチョコレートの味を思い出すように。 口をもごもごさせていたら、鷹が、欲に濡れた声をこぼした。 「エロすぎ」 「……っん……ふっ」 唇に指が、入ってくる。口内をかき混ぜられて、一瞬頭が白く濁った。 その指を吸うと、彼が、快楽へと身を任せる気配がした。口内から抜かれた指をちゅ、と口に含む。白い糸が引いていた。 片手が、伸びるのは、隠された秘所の奥。忍んできた指が、薄い茂みに触れて秘裂をなぞる。 口元を手で押さえても声が、漏れてしまう。 「余計、エロい」 鷹が、言うから唇を噛んだ。わかってないな、と耳元を食みながら、言われて ベッドに押し倒される。 誘ったのは私だと言わんばかりに、 四肢を絡め拘束して、離さない。熱く硬くなったそれは、私のお腹に触れていた。天を突くような漲りが、狙いを定めている。 ごくり、息を飲んだ。逃げられない。 頭をかき抱いた腕。舌が唇を割って、また荒っぽいキスが、降り注ぐ。濡れた秘部に触れていた指が、無遠慮にそこをかき混ぜる。 みだらな水音が、下腹部から聞こえている。 「……鷹っ……」 ちゅく、ちゅく、と肉芽をいじっていた指が、奥へと分け入ってきて、息を乱した。 片手で膝を押さえられている。 吐息が、濡れた蕾に触れた。ぎゅ、とふくらみの頂点をつままれる。 「ふぁ……っ」 胎内(ナカ)への刺激と外への刺激で、私は一気に脱力して意識を手放した。 ぎしり、ベッドが軋む音がする。避妊具をくわえた鷹が見えた。私に跨って、唇でぺりっと、外装を破り、そそり立つ自身にまとわせていく。その姿を食い入るように見ていたら、彼に気づかれて、枕に顔を伏せた。 お返しとばかりに、両脚が持ち上げられる。肩にかつがれ、一気に貫かれて、息を吐き出す。甲高い声を上げるほど、慣れてないわけじゃない。難なく呑み込んだ鷹自身に、襞が絡みつくのがわかる。待ちかねていたみたいで、浅ましさが嫌になる。ずん、と奥まで突かれて体が揺れる。今度こそ声が出た。弾ける音を奏でながら、彼が、行き来する。荒くなる息。 背中に腕を回すと、胎内(ナカ)で暴れる彼が、さらに大きくなった。 「そんなに俺を美味しくくわえこんじゃって、美菜って、やらしー」 「あなたに言われたくない」 鷹は、変態でSだから、目の前で自慰だってさせるし、自らもしてみせる。1度目撃してしまった時は、目を疑ったが、その色気に心を揺さぶられ食い入るように一部始終を見守った。 私が見ていると、お前もして見せろよとサディスティックな表情と声で言い放ち、罪悪感もあり彼の命令に従った。彼の前で自分を慰めるなんて顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけれど、躊躇わずに自分の肌を晒し、指で、ふくらみと秘部をいじくりまわした。その時間も長く続かず呆気なく組み敷かれて、熱い肉欲に貫かれてしまったけれど。お互い1度イっているので、2度目は早く、何度か擦られただけで、彼は、避妊具越しに熱を吐き出し、それと同時に私は、頤(おとがい)を反らし、足首を丸めた。 次は、お互いにお互いを愛撫する術を教えられて今では、全部が彼の意のまま。 鷹のカタチになった私の蜜口は、ぱっくりと呑み込んだまま、彼を離さない。彼が腰を振ると、私も腰を振る。そうすれば、もっと気持ちよくなれる。繋がりながらの深い口づけは、ひどく甘くて、興奮を高める。 「ん……もっと……」 「こう? 」 「あ、あん、そうじゃなくて」 浅い場所を先端で擦られて、ぶるりと震えた。じれったくて、涙目の上目遣いになる。いつの間にか、媚びることを覚えた私は、ドSの鷹には好相性の相手なのだろう。 「キスして……もっと深く」 激しく。 「おねだりが上手になったね、俺の美菜は」 頬を手挟んだ鷹に、言われてはっ、とする。手懐けられて、彼の術中にハマった私は、もうどうすれば彼が悦び、私を更なる快楽へと墜すのか知り得ていた。恐ろしいことに。 「あ……んんっ」 舌を小刻みに揺らして、私に絡みつかせる。口内を何度かちゅ、と吸われた。同時にふくらみをやわやわと揉みしだかれ、鷹の欲望は、私の胎内(ナカ)で、凶暴性を増した。抉り、擦りつける動きに、チョコレートを食べた時よりも甘いめまいに襲われる。ぱちゅ、ぱちゅ、と粘膜がぶつかる音。 「愛してるよ」 私の脚を大きく開かせて、貫く。最奥に届いた彼自身を感じて、うっとりと目を閉じた。胸に爪を立てる。もう、終わっちゃう。 生理的な涙が、眦から流れ、それを彼が、舌と唇で掬いとる。大きく視界が揺れて、たっぷりと注がれた。ふくらみの上に置かれた手が、優しくそこを掴んでいる。肩に伏せた鷹の頭を抱きしめて、瞳を閉じた。 「あ……な、なに」 頂きを啜っている。ほろ苦い味が、伝わって、くる。ウイスキーボンボンを味わいながら、私の肌を味わっているのだ。 「……も、やめて」 「意外にこうされると、感じるんじゃない」 既に鷹自身は、また復活していてわたしの腰に突きつけられている。 「だめ」 「ひどいな。お互いこんななのに」 「ひゃあ! 」 蕾をくいと、つままれて、眼裏(まなうら)がちかちかと瞬いた。白く弾けそうになった。 「またイキかけた」 「意地悪なことしないで……」 「チョコレート、また食べていいよ、美菜の好きなやつ」 「え……でも」 「可愛い反応見られたしご褒美」 頬に落とされたキスに、ぽっ、となる。あれほど欲をぶつけて愛し合っていたのに、穏やかな表情で、見つめてくる鷹をまた好きになった。 枕元に零れたウィスキーボンボンの包装を剥がすと、口に含んだ。そのまま、鷹にキスをする。自分から舌を絡めて彼を惑わせようとしたが、すぐに応酬され無遠慮な舌が、口内を暴れ回る。 「ウイスキーボンボンより、お前の方が俺を酔わせてくれるよ、美菜」 いいえ、私を酔わせるのはあなた自身。鷹と過ごす時間が、体の芯まで溶かしてしまうのよ。 心に浮かび上がった気持ちを、キスで伝えた。 翌日から、私のために、ミルクチョコレートが、用意されるようになった。 「適度な糖分は、身体にいいからね」 「ありがと」 チョコレートを食べる私を彼は、キャンパスに写し取って笑った。相変わらず、絵の中の私は、綺麗で、自分だとは信じられないけれど、 鷹の瞳には、こう写っているのだと言ってはばからない。照れながら、こてん、と肩にもたれた。 「愛してるわ」 「俺も」 「あなたも、子供を授かるまでは煙草吸っていいから」 「じゃあ、寂しい夜にでも吸うかな。お前がチョコを食べるように」 くすっ、と笑った。隠し持っていた煙草を渡すと、彼は、きょとんとしたあと頬を緩ませる。 そんな、可愛い顔しないでよ。私が嫉妬しちゃうじゃない 。 「全部顔に出てる」 「だ、だって」 「美菜のそばじゃ吸わないよ。 だって、いらないし」 「んっ」 ついばんでは離れるキスに酔う。 これからもチョコレートより、甘く虜にしてね。大好きで愛おしい私の画家さん。
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