6 / 15

1-6

「…そろそろ、僕も気持ちよくなりたいな」  アベルは中から抜いた指をぺろりと舐めると自身の服に手をかける。するすると床に落ちてく衣服。それが全て無くなった時そこには驚くほどに白い体をした美しい青年が居た。絵画に出てくるモデルのようだと思考能力の落ちた頭でぼんやり考える。 「十分ほぐしたつもりだけど痛いと思う」 「…そんなに…痛いんですか?」 「初めてだからね」 「…」 「どうする?やめておく?」  首を横に振る。私一人だけ気持ちよくなるのはずるい気がしたから。 「…我慢できます」 「…僕もできるだけ優しくするから、痛かったら背中に爪たてて」  背中に手を回して彼の顔を見つめる。汗を書いて額に張り付く髪ですら彼の美しさを引き立てているなあと思ってしまった。  私の穴の辺りに彼の勃起したものが押し付けられる。 「痛かったら、言ってね」 「…はい」  ぐっと彼が力を込めると、先端が穴を押し広げて中に入ってきた。思った以上に痛い。先程までの指とは比べ物にならない威圧感。思わず爪をたてそうになる。  そのまま大きなものがゆっくりゆっくり中を押し広げて入ってくる。少し進む度に苦しくて痛くて顔がゆがむ。この行為が気持ちのいい行為なのか疑問しか沸かない。 「いっ…いたっ…」 「ごめん…でも、入った」  よく頑張りましたと、唇にやさしいキスが落される。ああ、これで彼も気持ちが良くなっただろうか。ふうと一息吐く。その瞬間ぐたっと体の力が抜けた。 「…あのね」 「はい」 「今からなんだ」 「…?」 「僕は動かないと気持ちよくなれない」 「えっ」  少しだけ彼が腰を揺らした。 「いっ…!!」 「ごめん、痛いよね…」  少し動かれるだけで体に痛みがびりびり響く。でもそれ以上に、彼の表情がつらそうで見ていられない。自分の体なんて、どうとでもなるのだから… 「大丈夫です…動いて下さい」 「…本当にいいの」 「はい…」  じゃあゆっくり動くから。  そう聞こえてすぐに中のものが少し動く。痛い、けれど入れられた瞬間よりは痛くない。大きく呼吸をしてパニックになりそうなのを抑えながら爪を立てないように背中にしがみつく。 「爪…ったてていいのに」 「でも、そんなことしたら…アベルさんが…痛いから」 「…は」  一瞬アベルが腰を動かすのを止めた。でもそれも一瞬で、また緩やかに動き出す。 「はぁ…っ本当に優しい子なんだね…はぁ…」 「そんなこと…」  少しずつ、腰の動きが早くなっていく。でももう殆ど痛みは感じなくなっていた。中を押し広げて、それから抜かれる。その度に痛みではなく熱が体を犯してく。 「はぁ…はっ…ぁ…熱い…はぁ…っ」 「僕も熱い…はぁ…あっそんな締め付けたら…だめっだよ」 「ひっぁ…私…そんなこと…」 「してるよ…僕のこと離さないって言ってる」  体がアツイ。暑い、熱い。初めてアベルの血を飲み込んだあの瞬間のように熱くて気持ちがいい。ああ、わかった気がする。兄の言っていたこと。この行為は気持ちがいい。体だけじゃなくて心が心地よくて温かい。 「…はぁっ…ああ…アベルさん、わたし」  ―こんなに幸せな気持ちになったのは初めて。 「…ぁ…僕も」  どちらからともなく唇が触れて、舌が絡まり合う。 「はぁ…はぁっごめん、もう…イきそう…っ」 「…ぁ…わ…私も…」 「……じゃあ一緒にイこうか…あ、ちょっとまって…リラ…手、下ろして」  言われたとおりに手を下ろす。  床に下ろした手をそのまま絡められた。 「このほうがずっと幸せな気持ちに…なるでしょ」 「ぁ…っ……はい」  律動が早くなる。  私は波打つ快楽に身を任せ、甘い声を上げ続けた。 「はぁっ…ぁっ…イく…ぁっ…リラ…好き…っ」 「っ!!」  好き、だなんて。 「……はぁ…はぁ………ごめん、リラ…無理させたよね」 「…は…あ…大丈夫です」  好き、その言葉が頭のなかでリフレインする。でも、臆病な私はそれは本当なのか聞くことはできなかった。 「…疲れたでしょ、少し休もう」  そう言われると途端に体中が疲労しているのを自覚する。確かにアベルの血は飲んだから少し体力は回復したとはいえ、ここまで動くと疲労は激しいらしい。  私はそっと目を閉じる、負や嫌味に引きづられていく最中、水っぽい音と笑い声が聞こえた気がした。  
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!