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「アベルさん、何を…」  彼の手が私の服の中に滑り込んでくる。冷たい皮膚に触れた手の温かさにぞわりと変なものが走る。 「リラの体、冷たいね」  服の下を弄っていた手のひらが胸の当たりで止まる。ばくばくと心臓が早鐘を打っているのがわかる。 「でもこんなに心臓は動いてるのにね」 「心臓は動いていても私はやっぱり人じゃない。姿形は似ていても人とは異なる…だから人とは体温もものの捉え方も、考え方も違うんです…」  目をそらす。私はなり損ないの吸血鬼。なり損ないの化物だ。人間とは違う。人間を餌とし、血液を搾取しなければ生きることすら出来ない。  さっきだって私は彼の血を啜った。餌として、生きるために。合わせる顔がない。 「リラ、こっちを向いて」 「…でも」  さらさらした髪の毛が私の首筋に当たる。目線だけそちらを向けると薄く三日月を描いた彼の瞳とばっちり目があってしまった。なぜかそらせない。薄く笑う翡翠の三日月に心まで捉えられてしまいそうだ。 「…リラ」  頭をゆっくりと正面に向けられる。鼻先同士が触れそうな距離だ。異性とこんなに近い距離兄とだってありえなかった。どうしたらいいのだろう。どうするべきなのだろう。一生懸命頭のなかで出もしない答えを考える。 「…リラ、少しだけ口を開けて」  まるで魔法の言葉のようにすうっと彼の言葉が入ってきて、気がつけば私は少しだけ唇を開いていた。鼻先が触れて、それから、唇が触れる。ああ、口づけられたんだ。そう気がついたのは口内に彼の舌がぬるりと入ってきた瞬間だった。  初めてのキスなのでどうしたらいいのかわからず、ただひたすら息を止める。  彼の舌は私の口内をゆっくり確かめるように歯茎、上顎、下顎、舌をなぞりそれから、尖った犬歯を舐め上げた。 「…ぅ」 「…リラ?」  唇が離れる、銀色の糸が私達の唇と唇を繋いでいた。アベルの顔が少し離れてやっと呼吸することを思い出す。吸血鬼は人間とは違うとはいえ、呼吸をしなければ酸欠にはなる。ぜえぜえと肩で息を整えながら彼を下から見た。 「ずっと息止めてたの?」 「だって、どうしたらいいのか…わからなくて…」 「…こういうことしたこと無い?」 「ない」  兄から聞かされることは多々あったが実際の行為なんて見たこともシたこともない。今だって本当にどうしたらいいのかわからない。 「…そっか、じゃあ僕が初めてになれるんだね」 「どういう意味?」 「リラの初めてで最期の男になれるんだよ」 「だから、それは…」  今度は一度、鼻先にやさしいキスが落される。 「今から、気持ちいいことをするんだよリラ」  服のボタンが外されていく。ああ、わかった。私が兄達の言っていた状態になるんだ。服を脱がされて体中を撫で回されて、それから交わる。  兄は気持ちのよいことだと言っていた。その際中に血液を啜ると女も高ぶるし自分も美味しい血が飲めるのだと。気持ちがいい最高の行為、だとしても私は。 「い、いや」 「…どうしたの」 「怖い、から…やめて…下さい」 「怖い?」  男の人とこういう行為をすることに恐怖しか無い。一族以外の異性なんて関わったことがないのだから知らない人に裸を見せるのが嫌。  恐怖で体が震える。アベルは少し驚いたようだがすぐに柔和な表情に戻り私の体を抱きしめた。体中がおひさまのような温かさに包まれる。 「…大丈夫だよ、今から体温を交換するんだと思えばいい」 「…?」 「君に僕の熱をあげる」 「アベルさん…」  温かい手が、頭を首筋を肩を腕を脇腹を撫でていく。先程まで感じていた冷たい恐怖が溶けていく気がした。   「心地が良い?」 「…はい」 「じゃあこれは?」  手が上に戻ってきて胸をゆるゆると弄ぶ。揉んだり、円を描くように触ったり。これも暖かくて心地が良い。 「心地が…ひゃん!?」  胸の先を触られた瞬間、自分でも思ってもいなかった甘い声が漏れた。恥ずかしくなって手で口を覆う。アベルはそっとその手を退かすと、もう一度胸の先を撫でた。 「…そこ、だめ…」 「駄目じゃなくて良いんだよ、気持ちが良いんだ」 「…でも」  くりくりと優しくこねられ、時に少し強く引っ張られる度に私は声が抑えられなくなっていく。自分でも出したことのないような声と何処にあったのかわからない熱を含んだ吐息が漏れて止まらない。 「あの、本当に…ぃっ…ぁ…っ…」 「そんなに気持ちいい?」 「…ぅ」  少し意地悪な質問に言葉が詰まる。 「いいんだよ、もっと気持ちよくなって」 「んっ、そんな強くっ!」  ぐりぐり激しくこねられて、声が一層高くなる。痛いはずなのに気持ちがいい。わけがわからくて目尻に涙が溜まっていく。 「胸だけでこんなに感じちゃうなんて…下はもっと感じてくれるかな?」  片方の手が股の間に伸びていき、下着の上から大事な部分を撫でる。 「ぬるぬるだよリラ」 「…ぅう」  女の人は気持ちが良いと濡れると言われていたがこういうことだったのか。自身ではコントロールができないらしい。 「こうやってこの部分を触るとね」 「ふぁあ!?」  びりびりと電撃のようなものが体を突き抜けていく。 「まって、やだ、そこ…触らないで」 「だめだよ、もっと気持ちよくならないと」 「ひゃっあ!…いっ…ぁ…変になるから…だめっ!」  私が抵抗をする度にアベルは薄く微笑んで指を早めたり、力を入れてその部分を撫でたり押しつぶしたりする。  私の体はその度、まな板の上の魚のようにびくびくと跳ねた。 「ねえ?下着の上からじゃなくて直接触ったらもっと気持ちいいよ」 「…これ以上、気持ちよくなったら壊れる…からっ」  もうやめて。  その言葉は最後まで言えなかった。すっと下着の中に滑り込んできた指がビリビリする部分を直接いじった。 「ひっぃ…ああぁ!」 「…凄い声だね、もしかしてイっちゃったのかな?」  それすらわからなくてキョトンとするしかなかった。 「初心だね可愛い」 「…さっきから…はぁ…その…はぁはぁ…全然わからないです」 「いいんだよわからなくても」  腰上げて。  そう言われて素直に腰を上げるとそのまま下着が降ろされて私は本当に生まれたままの姿になってしまった。 「足もちゃんと開いて」 「…それは、恥ずかしいから…その」 「大丈夫、僕に任せて」  ぐっと力を入れられて足が開かされた。そんな場所人に見せる場所じゃないのに。カアァっと羞恥で体がほてる。ああ、私今人生で一番体温が高い。 「さっき弄ったのはここ、ほら、ツンって触ると」 「んぁっ!?」 「声出るね、ここはとっても気持ちいい場所だから開発していこうね」 「か、開発?」 「ふふ…で、こっちの穴」  つんっと指が使ったことのない場所にあたる。そのままゆるゆるとその周辺を撫でる。その感触にぞわぞわとしたものを感じる。 「…ここが僕のことを受け入れる場所」 「…ぁっ!?」  細い指の先端が穴を広げて入ってくる。 「少し入れただけなのに押し返してくる…ふふふ」 「…あの、あの…そこ、指れる場所じゃ…」 「入れる場所なんだよ」 「…う」  正論と言わんばかりに指がどんどん中に入ってくる。あまり痛みは感じなかった。 「…ここを使って男女は交わるの」 「…ぁ」  ぞくり、熱いものがせり上がってくる。 「ここで、僕と君は交わって、気持ちよくなる」  またぞくぞくする。 「さ、ほぐしていこうね、きちんと交われるように」  ぬぷぬぷ音を立てて指が動き出した。  痛くはない、ただ熱い。  自分の体内にこんな熱い場所があったなんて思いもしなかった。 「痛くない?」 「は…はい」 「じゃあもう一本増やしてみようかな?」  今度は別の指が中を押し広げて入ってきた。 「~~っ!」 「流石に痛かったかな…」  少しの痛みは感じたが我慢できないほどでもない。ゆっくりと中をかき回す指の動きを感じながら首を横に振った。 「…それならよかった」  日本の指が中を突いたりこすったり縦横無尽に動き回る。最初は熱かっただけなのに段々気持ちが良くなってきてまた甘い吐息が漏れ出していく。   「…はぁ…ぁっ…ぅ…んっ…はぁ…」 「…感じてきたのかな、滑りやすくなった」 「…はぁ…ぁっあっ…そこ…いまのところ…変…」 「ああ、ここが良いの?」  ぐりぐりとこすられてびくびくと腰が跳ねた。 「…じゃあいっぱいここで気持ちよくなろうね」  ぐちゅぐちゅという音と私の口から漏れる声だけが広い部屋に響く。恥ずかしいのにそれすら気持ちが良くてひたすら彼の指の動きに合わせて声を上げた。
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