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Chapter.7 愛され続けて*Act.1-03

 でも、私は高遠さんの言葉が素直に嬉しかった。  誰かに評価されたくてバイトに励んでいるわけじゃないけれど、高遠さんが私のバイトしている姿を見て好きになってくれたと改めて知り、高遠さんのためにも頑張ろうと思えた。 「また、都合のいい日があったら……」  私は口元を綻ばせながら告げた。  高遠さんは少し間を置き、『ありがとう』と返してくれる。 『じゃあ、また懲りずに声をかけるよ。絢もいつでも連絡して? 俺に遠慮は不要だから。いつも言ってるだろ?』  本当に全てを見透かされている。  付き合いの日数も長くなってきたから、私の本質もよく分かっているのだろう。 『俺もまた連絡する。でも、疲れてる時は無理しないこと。いいな?』 「分かりました。高遠さんも無理しないで頑張って下さい」 『ありがとう。絢に心配かけるわけにはいかないからね。無理はしないよ、絶対』  電話の向こうの高遠さんの声ひとつひとつが、私の心にじんわりと温かく広がってゆく。  きっと、高遠さんも私のように微笑んでくれているに違いない。 『それじゃあ、またね』 「はい、おやすみなさい」 『おやすみ』  携帯から耳を放し、私はゆっくりと通話を切る。  少し淋しさはあったけれど、高遠さんの声を聴けたことでホッとした。  私は携帯をヘッドボードに置いて、そのままベッドの上にうつ伏せた。  トクトクと鼓動が鳴っている。  好きな人がいるという幸せを噛み締めながら、私は瞼を閉じた。
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