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Chapter.7 愛され続けて*Act.1-01

 高遠さんに初めて抱かれてから一カ月近くが経過した。  それから高遠さんとは逢う機会はあったものの、お互いに忙しくて、夜に一緒にご飯を食べるぐらいしか出来なかった。  三月は年度末だ。  社会人である高遠さんは特に多忙で、朝早くから夜遅くまで、酷い時はこの間逢った時のように、家に持ち込みで仕事をしているらしい。  学生の私には高遠さんの手助けは出来ない。  いや、社会人であったとしても、高遠さんと私ではあまりにも違い過ぎる。  高遠さんは中間管理職だと言っていたから、私が想像するよりも遥かに大変な思いをしているのだ、きっと。  私は自分から連絡をすることをあえて遠慮していたのだけど、三月も下旬に差しかかろうかという時、高遠さんから夜遅くに電話が入った。 『ごめんね、こんな時間に。――寝てた……?』  躊躇いがちに訊ねてくる高遠さんに、私は、「いえ」と答えた。 「まだ起きてました。さっきまでお風呂に入ってましたから」 『えっ! じゃあ、髪を乾かさないとじゃない?』 「大丈夫ですよ。ちょうど髪も乾かし終わったトコです」 『そっか。それなら良かった』  高遠さんから安堵の声が聴こえてくる。 『元気にしてた』 「元気です。高遠さんは? 風邪とか引いてません?」 『お陰さまで。昔から風邪には嫌われているようだから』 「そうなんですか?」 『うん。全く相手にされなかったわけじゃないけど、そんなに酷くなったことはないな』 「相手にされない方がいいですよね?」 『だね』  そんな他愛ない会話が続く。  久しぶりだからか、お互いに電話は得意な方ではないはずなのによく喋る。
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