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Chapter.5 嫌いにならないで*Act.7-04

 呑気に笑っているようでも、高遠さんのことだからちゃんと考えている。  どんな時も、私を危険な目に遭わせないように、と。 「次の交差点、左です」  私が言うと、高遠さんは、「了解」と答える。  交差点が近付き、また手が離れた。 「明後日の約束、憶えてるよね?」  不意を衝くように高遠さんに訊かれたけれど、私は迷わず、「はい」と頷いた。 「高遠さんの好きなものを作りますから」 「ありがとう。でも、君が作ってくれるなら何でも喜んで食べるよ」 「そう言ってもらえるのはありがたいですけど、嫌いなものがあるなら遠慮なく言って下さい」 「大丈夫だよ。俺も極端な好き嫌いはないから。楽しみにしてる」  高遠さんの言葉に、私も俄然やる気が出る。  プレッシャーを感じていないとは言いきれないけれど。  高遠さんとふたりきりでいるタイムリミットが迫っている。  でも、次に逢えることを考えたら淋しいという感情は消えていた。  ――明日、チョコを買いに行こう……  運転する高遠さんの横顔を見つめながら私は思った。  また、高遠さんに逢うための楽しみがひとつ増えた。 [Chapter.5-End]
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