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Chapter.5 嫌いにならないで*Act.7-01

 高遠さんの部屋でコーヒーを飲んでから、私達は夕飯をまだ済ませていなかったということで、急遽ファミレスでご飯を一緒に食べることにした。  高遠さんとふたりきりでいた時はお腹が空いているとは感じなかったのだけど、現金なもので、ファミレスに着き、食べ物の匂いを嗅いだとたんに急に空腹を覚えた。  あまり遅くなってはいけないからと、本当にご飯だけを食べてすぐに店を出た。  もっと高遠さんと過ごしたい気持ちはあったけれど、わがままを言って高遠さんを困らせるわけにはいかない。  私のことを考えてくれているからこそ、少しでも早く帰してあげようと配慮してくれていることも分かっていた。  ご飯を食べてから、私はそのまま高遠さんの運転する車で送り届けてもらうことになった。  バイト先近辺の最寄り駅でいいと言ったのだけど、そこは固辞されてしまった。 「今日は絶対家の近くまで送り届けるから。また例の彼が待ち伏せしていないとも限らないだろ?」  高遠さんに電話する前のことを一部始終包み隠さず話したことで、高遠さんは私以上にあの男に警戒心を抱いたようだ。  思い込みの激しい人間は、いつ何をしでかすか分からないから、と。 「でも、君にとっては不謹慎かもしれないけど、真っ先に俺に連絡してくれたのは嬉しかったよ」  高遠さんは運転に集中しながらも訥々と続けた。
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