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Chapter.4 触れて、側にいて*Act.5-07

「これでいい?」  高遠さんが出したお皿は、手の平サイズの小皿と両手であまるぐらいの中皿だった。 「いいですよ」  頷きながら、ちょっと偉そうだったかな、と少し反省する。  もちろん、高遠さんは全く意に介していない。 「箸は?」 「割り箸持ってきましたから」 「じゃあ、それでいいか」  ひとりでうんうんと首を縦に動かし、お皿を億の部屋へと持って行った。  それからまた戻って来て、冷蔵庫を開け出した。 「飲み物、烏龍茶でいい?」  そこまで気を遣わなくていいのにと思ってしまう。  でも、そんなところも私は嬉しかったから、「はい」とさらに笑顔で答えた。 「すみません。あと、お弁当も出してくれますか?」 「もちろん」  高遠さんもまた素直に応じてくれる。  意気揚々とトートバッグからお弁当の包みを取り出し、それを持って行ってくれた。  筑前煮も、いい具合に温まった。  部屋に持って行き、お弁当と一緒に並べてみれば一気にコタツの上が賑わった。 「ピクニックみたいですね」  自分で作ったものを広げてワクワクしている。  ただ、室内というのがちょっと残念だ。 「春になったら行く?」  ふたりで並んで座ってから、高遠さんが言った。 「さすがにこれからだと厳しいからね。暖かくなったら、弁当持って。花見とかいいかもね」 「花見! 行きたいです!」  自分でも驚くほどのはしゃぎ方をしてしまった。  でも、元々花は好きだから花見は行きたい。 「珍しいこともあるもんだ」  そう言いながら、高遠さんが笑いを堪えている。
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