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Chapter.4 触れて、側にいて*Act.5-06

「結果オーライ、ってことかな?」  私と同じことを考えてくれていたらしい。  高遠さんは穏やかな笑みを浮かべ、指先で頬を触って涙の痕を拭ってくれた。 「さて、そろそろ食おうか?」  高遠さんはそう言いながら、いつの間にかコタツの上に置いていたトートバッグを指差した。 「実は君の筑前煮が楽しみで、朝メシを抜いてたんだよ」 「えっ、そこまで……?」  大袈裟だな、とあからさまに呆れてしまった。  でも、楽しみにしてくれていたのは素直に嬉しい。 「温めますか?」  まるでコンビニ店員のような訊き方をしてしまったと自分で気付いてしまった。  でも、高遠さんは全く気にしなかったようで、普通に、「そうだな」と返してきた。 「レンジも鍋もあるから好きに使っていいよ。って、俺がやった方がいいか?」 「いいですよ、私やります。あ、出来れば取り皿があればいいですけど……」 「それぐらいは用意しよう。適当なのになるけど、いい?」 「もちろんです」  私はニッコリと頷き、トートバッグを持って台所へ向かった。  筑前煮を詰めてきたタッパーは電子レンジ対応になっている。  私はさっきのお言葉に甘え、蓋を軽く開けた状態で容器ごとレンジに入れてタイマーをセットした。  その間、高遠さんは小さな食器棚からお皿を出してくれた。  ひとりで過ごすことが多かったのか、食器は一通りあるものの、本当に一人分ずつしかない。
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