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Chapter.4 触れて、側にいて*Act.5-02

「俺の部屋、二階の一番奥ね」  説明しながらコンクリートの階段をゆっくり昇る。  それほど急ではないけれど、気を抜くとうっかり足を踏み外してしまいそうだ。  階段を昇りきってから、一番奥まで歩いてゆく。  そして、ようやく部屋の前まで着くと、高遠さんは手に持っていたキーケースから鍵をひとつ選び出し、鍵穴に差し込んで回した。 「どうぞ」  ドアノブを引き、私に入るように促してくる。 「お邪魔します」  私は遠慮しつつも中に足を踏み入れる。  高遠さんはそのあとからドアを閉め、靴を脱いだ。  先ほどにも増して緊張が高まっている。  今さらだけど、本当に高遠さんのアパートに来てしまったんだ、とドキドキしていた。  部屋は小さな台所を経由した奥にあった。  メインとなる部屋のすぐ隣には、白い壁紙が貼られた襖で仕切られている。  開けっ放しになっていたのでつい目に付いてしまったのだけど、隣室の壁際にはベッドが置かれていた。  また、胸の鼓動が高まる。  ベッドがあることが特別なことではないのに、何故か勝手に全身が熱を帯びてくる。 「黒川さん?」  高遠さんが私の顔を覗き込んできた。いつもよりも距離が近い。 「どうした? 体調悪いの?」  心配した面持ちで訊かれる。  またさらに心臓が早鐘を打つ。  どうしたものかと戸惑っていると、高遠さんの大きな手が私の額に触れた。 「ちょっと熱くない?」  気にかけてくれているのだろうけれど、触れられたことでますます熱が上がる。  でも、無下に振り払うことなんて出来るはずがない。
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