42 / 74

Chapter.3 分かっているつもり*Act.4-05

「料理出来るってことが凄いと思うけどな。俺は料理なんてからっきしダメだし。炊飯器でご飯炊いたり、あとはスクランブルエッグぐらいしか出来ない。あ、インスタントラーメンを茹でるのも出来るか」  出来るものを指折り数えながら言ってくる高遠さんが可愛い。  そんな高遠さんを前に、私は思わずクスリと笑ってしまった。  高遠さんは怪訝そうに私を見ていた。 「どうしたの、急に笑って?」 「だって、高遠さんがおかしいから」 「おかしい? 俺が?」 「はい。出来るものを一生懸命数えてるのが」 「うーん……、そんなに変だったか……?」  真面目に考え込んでしまうものだから、なおさら私は笑いのツボに嵌ってしまった。  控えめにしていたのに、とうとう堪えきれなくて涙が出るほど笑ってしまった。  高遠さんは呆気に取られて私を見ていたけれど、私があまりにも笑い過ぎるからか、とうとう釣られるように笑い出した。  はたから見たら、完全に酔っ払ってテンションがおかしくなっているようにしか映らないかもしれない。  でも、ここは居酒屋だ。  私達以上に盛り上がっている人達もいるし、まだまだ大人しい方だと思う。  しばらく笑っていたけれど、どちらからともなく笑いを徐々にフェードアウトさせていった。 「いやあ、笑い疲れた」  高遠さんは大きな溜め息を漏らし、燗に手を付けた。  そして、お猪口にお酒を注ぎ、クイと一瞬で飲み干した。 「でも良かった」  二杯目を注いでから、私をジッと見つめてくる。  不思議に思いながら首を傾げていると、高遠さんはニッコリと笑った。 「初めて君が楽しそうに笑う姿を見られた」  高遠さんに言われ、私もハッと気付く。  確かに、高遠さんを前にここまで声を上げて笑ったことはなかった。  とはいえ、高遠さんとこうしてふたりで過ごすのは二度目なのだけど。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!