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Chapter.2 もっと知りたい*Act.3-04

『君の都合に合わせるのは当然のことだよ。君はバイトもしてる学生だ。俺よりも忙しい身だろ?』 「いや、忙しくないわけじゃないですけど……。高遠さんだって、お仕事大変でしょうから……」 『大丈夫、俺はどうにでも都合を合わせる。黒川さんのためならね』 「そう、ですか……」  ここで遠慮したら、また高遠さんを落ち込ませてしまう。  そう思い、私は高遠さんのご厚意に甘えて、自分の都合の良い日と時間を教えた。  高遠さんは『分かった』と相槌を打つ。  心なしか、嬉しそうな声だ。 『じゃあ、はっきり決めたら改めて連絡するよ。メールでもいいかな?』 「はい、メールでいいです」 『ありがとう』 「こちらこそ、ありがとうございます」 『いやいや、こちらこそ』 「いえいえ」  こんなやり取りが続いたら、高遠さんが、プッと噴き出した。 『これじゃあキリがないな』 「ですね」  私も釣られて笑ってしまった。  しばらくふたりで電話を通して笑い合い、やがて、『さて』と高遠さんから切り出した。 『そろそろ寝ようか? 明日も早いだろ?』 「私はそうでもないです。高遠さんの方が早いんじゃないですか?」 『いつも通りだよ。九時出社』 「大変ですね……」 『大丈夫だよ。もっと早い日もあるから……。っと、また長引きそうだ』 「そうですね……」  さっきまで電話が気まずかったのに、急に名残惜しくなる。  高遠さんも同じ気持ちなのだろうか。 「今度、もっとゆっくりしましょう?」  私が言うと、高遠さんは、『そうだね』と返してくれた。 『それじゃあ、今度こそ』 「おやすみなさい」 『おやすみ』
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