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Chapter.2 もっと知りたい*Act.3-03

『また、君とゆっくり逢いたいって思ったけど……、さすがに悪いか……』 「悪くないです!」  私は高遠さんの言葉を強い口調で遮った。  自分でも驚いた。  でも、ここで黙っていたら高遠さんは身を引いてしまう。  それぐらい、電話の向こうの高遠さんからは消極的な雰囲気が伝わってきた。 「私、高遠さんをもっと知りたいです」 『――それ、本気で言ってる……?』  恐る恐るといった感じで訊ねてくる高遠さんに、私は、「本気です」と答えた。 「そうじゃなきゃ、高遠さんのことは最初から無視してます。私、これでも好き嫌いがはっきりしてますから……」 『――なら、少しは期待していい、ってこと?』  また、探るように訊かれた。  私は少しだけ間を置き、「はい」と頷いた。 「だから、高遠さんともっとお話しとかしてみたいです。――高遠さんなら、きっと大丈夫だって気がします」  私の言葉に、高遠さんは、『うーん……』と小さく唸った。 『信用してくれるのはありがたいけど……、ほんとに大丈夫なの……?』 「大丈夫です、きっと……」 『きっと、ねえ……』  電話の向こうの高遠さんがどんな表情をしているは想像するしかないけれど、多分、困惑しているから眉間に皺ぐらいは寄っている気がする。 『俺のこと、怖くない?』 「怖くないです」 『ほんとに?』 「ほんとです」 『ほんとのほんとに?』 「ほんとのほんとです」  何度も念を押され、私もとうとう苦笑いが浮かんできた。  逢っている時は堂々とした大人の男性だと思ったのに、電話で会話しているとどことなく幼さが垣間見える。  プライベートの電話が苦手というのは、そういう面が出てしまうからというのも、もしかしたらあるのかもしれない。  高遠さんから深い溜め息のようなものが聴こえてきた。  そして、思いきったように、『じゃあ』と続けた。 『今度、メシに付き合ってくれる? 日にちはもちろん君に合わせるようにするよ』 「いいですけど……」 『――やっぱり、逢うのはダメ……?』 「いえ、そうじゃなくてですね……。私に全部合わせるというのは悪いな、って……」 『なんだ、そんなことか』  今度は何かから解き放たれたように、高遠さんは声を上げて笑った。
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