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Chapter.2 もっと知りたい*Act.1-02

「合コンはこりごり?」  不意に訊かれ、私はカップに口を付けたままの状態で七緒を凝視する。 「ああごめん。いきなりビックリするよね?」  引かれたと思われたのか、七緒は微苦笑を浮かべながら小さく肩を竦めた。 「私もさ、絢の気持ちは分からなくはないのよ。彼氏とかってめんどくさいし。でも、せっかく好意を寄せられても壁を作ってしまったらもったいないよな、って。確かに、誰にでも調子のいい女の方がよっぽど気分悪いけど」  そこまで言うと、七緒はアイスコーヒーに口を付ける。  私も七緒に倣ってカフェラテをゆっくりと啜る。  周りがざわめいている中、私達の間だけ静かな空間に包まれている。  佳奈子が騒がしい分、私も七緒もどちらかと言えば無口の部類に入るから、会話が途切れると沈黙が流れる。  気まずさは全くない。  むしろ、静かな時間を過ごせるのが七緒と一緒にいる良いところだと思っている。  もちろん、佳奈子の底抜けな明るさも好きだ。 「彼氏とか、全く興味ない?」  しばしの沈黙のあと、七緒から質問が飛んでくる。  先ほどまでの話の流れ的に、もしかしたら、とあらかた予想はしていたから、さほど驚きはしなかったものの、それでもやはり考え込んでしまう。 「興味ないわけじゃないけど……」  私はおもむろに口を開いた。 「今はそうゆうのはあんまり……。正直、変に言い寄られても気持ち悪いって思うだけだし、相手は何か勘違いしてるんじゃないかって勘繰ってしまう……」 「なるほど」  七緒は私の話に何度も頷く。 「警戒するのは当然だよね。このご時世、何があるか分かったもんじゃないし。でも、絢の場合、ガードが固過ぎる気もする。佳奈子は佳奈子で緩過ぎだけど」 「――私みたいなのはダメってこと……?」 「いやいや、そんなことは言ってない」  今度は大袈裟なほど(かぶり)を振る。 「適当に色目を使わないトコは絢のいいトコだしさ。ただ、たまーにはちょっと柔軟性を持って接してもいいんじゃない、って言いたかっただけ。ま、私のようなのが言っても説得力ないかもしれないけどね」 「柔軟性……」  私は独り言のように呟き、考える。  脳裏に浮かぶのはやはり、高遠さんのこと。  高遠さんは私に不思議なほど安心感を与える人だった。  でも、全く警戒心がないかと言われればそうでもない。  あの男子よりは数百倍も数万倍も信用出来そうだけど、心のどこかでは、まだわずかでも気を許してはならないと思っている。
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