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4.他人の空似?

 そういえばお互い自己紹介もしていなかったと苦笑し、朝になってやっと彼らは名乗りあった。彼女はフィリーナ、彼はヒューイ・エンといった。 「エン?」 「どうかしたかい?」 「ううん、なんでもない……」  今日は初仕事の報告に戻らなければいけないと言えば、「じゃあ、今夜は?」と彼に聞かれ、彼女は頬を染めた。一晩中抱かれた中はまだじんじんと熱を持っている。もらった精は濃厚でおいしく、できることならずっと繋がっていたいぐらいだった。けれどそんなことをしたら彼が死んでしまうかもしれない。フィリーナはそれらの加減や頻度も含めて聞いてくるつもりだった。 「……今夜はごめんなさい。どれぐらいかかるかわからないから……でも、嬉しい」 「……離したくないな。じゃあ、明日の夜ここで待ってる」 「うん……」  そうして二人は後ろ髪を引かれながらも一旦別れた。  フィリーナは町の外れまで移動すると元の姿に戻りそのまま霧のように姿を消した。  淫魔たちは夢魔でもある。男性、女性に淫らな夢を見せて精を奪ったりもしている。しかしそれでは必要最低限の糧を得ることしかできないので、好みの人間を見つけた時は直接精をもらう。  魔の国に戻ったフィリーナは自分の教育係であるセカール・エンの元へ向かった。  しかし彼女はセカールに会う前に同僚に捕まってしまった。 「フィナ!? なぁに? つやっつやじゃない~~! どんな絶倫を捕まえたのよ?」 「う、うん」 「そんなにいっぱい吸い取ったならわける分もあるんでしょう?」 「うん、先生に報告してから後で行くね~」  どうにか追求をかわして彼女はどうにかセカールの家に辿り着いた。 「先生、ただいま戻りました!」 「……ふわ~、遅かったな……って、フィナ!? お前なんだそのつやっつやっ!?」 「え? そんなに変わりました? あの?」  昼の時間基本淫魔たちは寝ている。セカールも自分の仕事をとっくに終えて寝ていたのだろう。だがフィリーナの姿を見てすっかり目が覚めたらしい。いつになく肩を抱かれて中に招き入れられた。それだけでなく、いきなり大きなベッドに押し倒されて彼女は目を白黒させることしかできなかった。 「え? せんせ……」 「すっげえうまそう。今のお前なら孕ませてやってもいいかもな」 「ま、待って! 待ってください! あのっ、報告を~~~あんっ!!」  元の姿に戻ったフィリーナは裸である。もちろんセカールも裸なので遮るものは何もない。すぐに足の間に入られて大事なところにセカール自身を擦り付けられてしまった。 「あ? 報告なんか後でもいいだろ」 「だめっ! 分けるって約束、したし……それにっ……」 「あー……分けなきゃだめか……。じゃ、てみじかにな」  己を満たす以上の精を受けた分は、淫魔の子どもたちの成長や食事として提供するのが決まりだった。すでに彼女は沢山精を受けたことを同僚に伝えてしまったので今妊娠するわけにはいかない。(妊娠すると沢山の栄養が必要になる)それにヒューイとのこともある。彼女はセカールの気が変わらないうちにと話し始めた。 「あの、先生……私昨夜、ヒューイ・エンって人に抱かれたんです。それで……」 「ヒューイ・エン!? マジか? あの兄貴と!?」 「兄貴!?」  やはりセカールとヒューイは他人の空似ではなかったらしい。世の中はずいぶん狭いようだとフィリーナは苦笑した。
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