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14.美歌様と癒羽くんにおしおきされそうです。

「ねえ。さっきから思ってたんだけど、君って俺達の魅力を全然わかってないだけなんじゃない? 俺達のスゴさを知ったら、他の天使とか人間の男とか、そんなバカなことは二度と言えなくなるはずだよ」 妖しげに笑った癒羽くんが、向いのソファからあたしの隣に席を移してくる。 ううううん!? あたしもしかして墓穴掘った!? なんか不穏な流れになってない!? ソファの端に移動して、癒羽くんと距離とろうとするあたしは間違っていないはず! なんで癒羽くんが席移動したのかわかんないけど、警戒するに越したことはないよね。 だって癒羽くんの目。 獲物を前にしてキラリンって輝いちゃってますし。 って。ん!? なんかあたしの背中にぶつかった!? 「私もユウの意見に賛成だな。 君はどうやら、私達の魅力をよくわかっていないようだからね。 てっとり早く、実力行使でわかって貰うのが一番よさそうだ」 い、いつの間に美歌様はあたしの背後に来たんですか!? ていうか美歌様!なんであたしの両腕を後ろから掴むんですか? か、肩まで押さえられたら、あれれ?身動きとれない!? これってまさしく、前門の虎後門の狼状態? 超イケメン二人にサンドイッチされても、あたしは喜ぶどころではありませんよ。 誰か助けて!ってそうだ文人さん! 文人さんなら助けてくれるかもって、あたしが横向いてみたら、澄ましたお顔をされた文人さんと、ばっちり目が合う。 「女性の意向を考えずに無理矢理というは、僕の流儀に反します」 ふぅ、と嘆息している文人さん。 うん?助けてくれるのかな? 「そう言うわりには、俺達のこと止めないんだね」 あたしの頬を両手で包みつつ癒羽くん、文人さんのこと横目で挑発してるよ。 文人さんはぐぐっと眉根を寄せて思案しちゃってる。 これはダメだ! 助けなんて期待してないで、自力で精いっぱい抵抗しなくては!! 「やめてくださいっ!!」 唯一自由に動かせる口を使って、あたしは必死の抵抗を試みる。 ていうか天使さん達の力は恐すぎるよ! 美歌様はあたしの肩と腕、癒羽くんはあたしの頬をつかんでいるだけなのに、あたしの体からは力が抜けちゃってる。 もっと腕をふりきろうともがいたり、足振り上げて逃げ出したりとかしたいのに、あたしの意識に逆らって、体は全然動かない。 抵抗できない状態にされて初めて、天使さん達はこういう特殊な力も持ってると気づくあたし遅すぎ!もっと警戒しろよ!ってちょっと後悔しなくもないけど。 けど体の自由がきかないくらいであたしはめげたりしませんから! 断固拒否します!って決意をしているあたしの頭上から、美歌様の笑い声が降ってくる。 「ちょうどよかった。 確かセラフィム様は昨日、私達の能力は体液を介さないと受取れないと言っていたね。 どういうふうにしたら能力を渡せるのか、試してみるのもおもしろそうだ」 肩におかれていた手が離れて、かわりに長い指があたしの唇の形を確かめるように触れてくる。 抵抗する女の子を羽交い締めにして、セクハラして愉しもうなんて悪趣味だ! って美歌様に言ってやりたいけど、今は不用意に喋れない。 だって、美歌様の指があたしの唇撫でてるからね。 うっかり口開けたら、これ絶対あたしの口の中に指つっこまれそうだよ。 唇触られるだけでなんかちょっとぞくぞくしちゃうのに、口の中指で触られるなんて絶対ごめんだね。 ってわけであたしは口を引き結んで、首もうまく動かないから、目の前にいる癒羽くんを力いっぱい睨みつけてやる。 これ以上あたしにセクハラしてみろ!ただじゃおかないから!! って意志を込めてるのになぁ…。 癒羽くん、なんでそんなに嬉しそうに体を震わせてるの? 「そんな、潤んだ目で俺のこと睨まないでよ。 誘われてるみたいで、すごい興奮する…」 なぜそうなる!? 上目で睨む行為がなんで誘う行為になっちゃうわけ!? 癒羽くんの思考回路はどうなってるの、ってっちょっとぉ!! 顔!癒羽くん顔近付けてこないで! あたしキスとかしたくないから!! 今この流れで癒羽くんとキスとか絶対イヤですから!! でも首が動かないよ! うう、癒羽くんの唇が近づいてくるのがなんかスローモーションみたく見えるよぅ。 あああ!あたしのファーストキスが―― 「もがっ?」 「んぐ?」 癒羽くんとあたしの唇が触れあう前に、間に入ったものがありました。 よ、よく見えないけどこれは、美歌様の手? 「ダメだよ、ユウ。 君の能力は、彼女に渡ったか確認するのが難しいだろう? キスをするなら、私のほうが適任だ」 表情は見えないけど、だいぶしかつめらしく美歌様があたしと癒羽くんのキスを寸前で防いでくれている。 でもこうなったらおもしろくないのは癒羽くんのほうで、キスのために前屈みになってた癒羽くんは、起き上がるとさっそくぶうぶう言いだした。 「えー。能力とかどうでもいいじゃん。 とりまキスとかで溶かしとけば、なし崩しに相手を好きになったりするもんでしょ」 だいぶ偏った恋愛論を言い放っちゃってるよ癒羽くん! キスでなし崩しに相手を好きになっちゃったりはしないと思うよ!? なにさらっと体から始まる恋愛~みたいな流れに持ってこうとしてるんですか!?怖っ!! 「私達の魅力を伝えるために、快楽を無理に与えるだなんてナンセンスだよ。 私達は天使であって、淫魔ではないのだから。 性的な快楽よりも、もっと素晴らしいものを与えることができるってことを、私は彼女伝えたいんだよ」 美歌様にあごをつままれて、無理矢理上向かされる。

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