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2.あたしはそんな名門学院に通う平凡な女子高生です。

ところで、冒頭からいきなりイケメン四人組の紹介をしている、あなたは誰? ってそろそろ突っ込まれそうなのでいちおう自己紹介しておきます。 あたしは美空 愛海(みそら あいみ)十五歳。 聞かれてもないのに自分の外見評すると、たいして大きくもない目と小さい鼻と口が、フツーな感じで顔についてるだけっていう感じ。 髪だって天然カールとか不思議な色とかじゃまったくない、ごくごくフツーの黒。 身長は平均よりもちょい下。でもチビッ子なんです☆とかアピれるほど小さくなんてない。 つまりは全てにおいてザ・平均的。 どこにでもいるフツーの女子高生。 あ、でも、いっこだけフツーじゃないとこがある。 それは、超名門全寮制男子高である聖セラフィム学院に、たった一人女子生徒として入学しちゃったこと。 あれ?どうして女子が男子校に入学してるの、おかしくない? って言われそうですが、これにはかくかくしかじか、海よりも深~いワケがあるのです! 超名門男子校に入学っていっても、あたしは受験はしていない。 家が貧乏なので、あたしは高校進学あきらめて、中学卒業後はすぐ働くつもりだったし。 でも3月も中旬にかかるかって頃に、いきなり担任の先生からこの学院の入学を薦められたのだ。 いわく、あたしの家から自転車で通える距離にある、この有名な学院で、急きょ特待生枠が設けられ、女子生徒を一名入学させることになったと。 始めは良家のお嬢様を一名募集したが、なにぶん、いくら名門とはいえ、全寮制という男子校に大事な箱入り娘を一人やろうとするような奇特な親はおらず。 ぎりぎりになっても特待生を確保できなかった学院は、ついに付近にある一般校に推薦状を出してきた。 さる富豪の恩赦により設けられた特待生枠なので、なるべく金銭的事情で修学を断念した生徒を迎え入れたいというのが学院側の要望なのだそう。 『学費全額免除だし、お前に打ってつけじゃないか!』 あたしの学校の成績知ってて、進学あきらめるのはもったいないとしきりに言っていた担任の先生から、熱心に薦められたのもあって、あたしは半信半疑ながらも志望動機を推薦状に記入したのだ。 「父と母が病気で、小さい弟と妹もいて家計が苦しいからです!!」 とデカデカと。 もちろん書いた内容は本当。 うちはお父さんとお母さんが病気がちだから、はっきり言って金銭的余裕がない。 でもあたしは、お父さんもお母さんも、ちっちゃい弟の陸(りく)と妹の泉(いずみ)も大好き。 だから、皆のために働けるって、ちょっと嬉しい気もしてて、高校進学あきらめるのもそんなに苦じゃなかった。 ただお父さんとお母さんは、高校だけは将来のために出といたほうがいいって反対していたから、この特待生枠のことはかなり喜んでくれていた。 けどあたしとしては、これだけで本当に超名門男子校の特待生枠貰えちゃうなんてちっとも信じてなかったのに。 なんでか数日後、あたしの家には蜜ろうで封をされた封筒が届き。 そのお高そうな封筒の中には、あたしの名が記された、聖セラフィム学院の入学許可証が入っていたのだった。 こうしてあたしは、聖セラフィム学院のたった一人の女子生徒になったわけなのです。 しかし、入学から一カ月経った今でも、この状況には慣れないな。 この状況。 つまり、周りには、白いジャケットにベージュのチェックのズボンっていう制服を着た、男子生徒ばかりだという状況。 ジャケットの下に膝丈のチェック柄のスカートを着用しているのは、講堂内であたしただ一人だけっていうこの状況。 もう恋なんてしないって、賢者みたいに悟り開きかけてるあたしでも、この状況はさすがに落ち着かない。 中学二年の時初めてできた彼氏は、あたしが家族を優先してデート断ったとたん、あっさり別の女子に乗り換えた。 しかも『あいつとなんて付き合ってねーし』と公言する始末。 それ以来、あたしは恋なんてしないって決めた。 決めたったら決めたのだ。 例えまだ、十五年しか生きてきてない短い人生の途中だったとしても、繊細な乙女心を守るため、あたしの決心は固いのだ。
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