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第七章 本当の気持ち 6

―― 営業部を出て行った晴海を追いかける吉富。  吉富は書庫の前で晴海に追い付く。すると、書庫へ入ろうとする晴海の前に立ちはだかる。 「どいて」 「あの二人を追いかけて何するつもり?」 「文句言ってやるのよ。あの女、人の男を寝取った癖に、今度は仕事まで奪おうなんて」  怒りで鬼のような形相になっている晴海の腕を掴むと、そのままグイグイ引っ張ってエレベーターホールの方へと連れて行く。その吉富の手の熱で晴海は火傷しそうな程に体が熱くなる。 「どこへ行くのよ!」 「いいから、乗れよ」  開いたエレベーターの扉の中へと晴海を押しいれると、吉富は直ぐに扉を閉め最上階のボタンを押す。吉富の体でどこへ連れて行かれるのか全く見えない晴海は吉富から少しでも離れようと腕を振り払おうとする。  しかし、吉富は決して晴海の腕を離すことをしない。それどころか、グイッと引き寄せると思いっきり晴海を抱きしめる。 「ちょっと、会社で何するのよ」 「誰も来ないから大丈夫」 「大丈夫じゃないわよ! 一度くらい寝たからって私はあんたのモノじゃないわ! 私は幸司のものよ」  力づくで押し退けようとしても、吉富の力には勝てずそのまま抱きしめらている。その吉富の胸の広さにホテルでの一晩を思いだす。幸司の胸も逞しかったけれど、吉富のとても熱い抱擁に身も心もアッという間に蕩けさせられてしまった。  まさか幸司以外の男にそんな幸せな時間を味合わされるとは思わなかった晴海は、吉富から少しでも離れたくて、必死に胸を叩いては押し退ける。 「何をそんなに必死になる? 俺とのセックスに晴海ちゃんは幸せそうにしてたの覚えているよ」 「会社で誤解されるようなこと言わないで」 「事実だろ?」  エレベーターが止まると扉が開く。慌てて離れようとした晴海が必死に腕を押し退けると、吉富はスッとすんなりと離れ今度は晴海の手を握り締めエレベーターから下りて行く。  最上階へと連れてこられた晴海は、そのまま屋上へ上がって行く階段へと引っ張られて行く。 「ちょっと、吉富さん?」 「今日は天気が良いから屋上からの見晴らしは相当に良い筈だ。ちょっと休憩しようよ」  いつの間にか晴海は手の指を絡められて握り締められている事に気付く。さりげない吉富の行為が厭味に思えて腹立たしく感じると、吉富の腕を思いっきり引き寄せる。 「晴海ちゃん?」

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