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第22話

   * * *  乗船してすぐに指輪をプレゼントされ、それだけでも充分すぎるほどなのに、琉偉はすばらしいランチのコースも予約してくれていた。  ひさしぶりに目にする琉偉のハンサムな姿に、本当にこんなにステキな人が、私にプロポーズをしてくれたのかと不思議な気持ちになる。  食事を終えて席を立つ前には、マーガレットの花束をプレゼントされた。花言葉は真実の愛だと聞かされて、心の奥がムズムズとする。  こんなにしあわせでいいのかな。  真面目に、おとなしく、目立たずまっすぐ生きてきた。だから幸運を引き当てられたのだ。真理子の母親はそう言って、自分の育て方は間違っていなかったと胸を張った。破天荒な妹が家庭に収まったのに、真理子にはそんな兆しがすこしもないことに、厳しく育てすぎたかもしれないと、多少の責任を感じていたらしい。  客室に花瓶を用意してもらい、それを活けた真理子は置き場所をどうしようかと室内を見回した。琉偉がそっと両手で花瓶を取って、窓際のテーブルへ乗せる。光を受けたマーガレットと窓から見える青い空のコントラストが美しくて、真理子はほほえんだ。 「真理子」  琉偉の胸に抱き寄せられる。顎に手をかけられて、上向かされた真理子はまぶたを閉じた。そっと琉偉の唇が落ちる。  琉偉の匂い――。  唇をついばまれ、琉偉の首に腕を回す。毎日声を聞いていた。そのたびに触れられないことがさみしかった。キスがしたくてたまらなかったと言えば、はしたないと思われるだろうか。 「んっ、ん……、ふ、ぅ……、琉偉」 「……ずっと、キスがしたかった」  熱っぽくささやかれ、真理子はクスクス笑いながら琉偉の胸に額を擦りつけた。 「真理子?」 「ううん。――おんなじ気持ちだったんだなぁって、安心をしただけ」  真理子の髪を、琉偉の指が梳く。ギュッと琉偉にしがみつけば、トントンと背中をあやすようにたたかれた。 「真理子」 「ん?」 「真理子の体中にキスしたい」  ポッ、と真理子の体中に熱が広がる。 「イヤなら、夜までガマンする」  ずるい、と真理子は口の中でつぶやく。聞こえなかった琉偉が、身をかがめた。 「そういう聞き方、ちょっとずるい」 「どうして?」  恥ずかしくて、唇を尖らせた真理子の真っ赤な顔を見た琉偉は、クックッと喉を震わせながら真理子を抱き上げ、ベッドに下ろした。 「そんな顔をされたら、イヤだと言われてもガマンができないな」 「琉偉……」 「愛してる、真理子」 「……私も」  うん、とうなずいた琉偉の唇が、やさしく真理子の唇を押しつぶす。甘いキスに自然と唇が開き、琉偉の舌が口内に侵入した。官能の前菜を味わう琉偉の舌を軽く吸うと、琉偉がうっとりと目を細めた。彼が感じているのだとわかって、真理子は琉偉の舌に舌を絡めた。 「ふっ、……んっ、ぅ……、ふぁ、んっ、うう」  鼻にかかった甘い息が漏れる。琉偉の舌が真理子の鼻に触れて、ぱくりと噛まれた。 「きゃっ」 「はは……」 「もうっ」  久しぶりのキスが、琉偉も照れくさいのかな。  真理子は琉偉の胸に手を当てて、心臓の音を聞こうとした。 「真理子?」 「琉偉も、ドキドキしているのかなって思って」 「真理子は、ドキドキしているのか」 「――うん」  すごく、ドキドキしている。  瞳に乗せて伝えれば、まぶたにキスをされた。琉偉の手が真理子の服にかかり、真理子は琉偉の服に指を這わせた。キスをしながら互いの服を脱がし合う。素肌の胸に唇を当てられて、真理子はうめいた。琉偉の舌が真理子の胸の先を捉え、チロチロと刺激する。かと思うと唇で挟まれ、軽く噛まれて転がされ、ずっと彼を求め続けていた真理子の体は想いの強さを燃料として、炎のように燃え上がった。 「っ、は、ああ……、琉偉、あ、ああ」 「真理子……、ああ、ひさしぶりの真理子だ」 「んっ、琉偉……」  真理子は琉偉のがっしりとした肩に手を乗せて、彼の熱い肌を手のひらで味わった。間違いなく、琉偉がここにいる。触れられる距離に、彼がいる。 「ああ――っ!」  よろこびに震える真理子の胸を、琉偉の大きな手のひらが包む。やわやわと揉まれ、先端を指や唇で愛されて、真理子の胎内が熱くとろける。 「は、ぁあ……、琉偉、ああ、ああ、琉偉……、琉偉」 「ここにいる、真理子。俺はここにいる……、こうして君に触れて、ああ……、真理子」  琉偉の感嘆の声に、真理子の体は幸福に膨らんだ。心の底から愛した人に、こんなにも愛されているなんて――。 「琉偉……、ああ」  女の花がわななき、琉偉を求める。琉偉は丹念すぎるほど丁寧に、真理子の肌を味わっている。もどかしいほど緩慢な愛撫に震えつつ、真理子はすみずみまで彼の唇に食べられるよろこびに、すすり泣きに似た嬌声を上げた。 「ああ……、あっ、は、ぁあ……あっ、あ、あ……」  欲望が体の奥で渦巻いている。性急に琉偉を求めそうになる自分を、真理子は必死で抑え込んだ。――もっとじっくり、彼に愛されたい。離れていた時間を埋めるように、ゆっくりと私の隅々まで味わってほしい。 「んんっ、んぁ、は……、ああ、琉偉、ふぁ」  肌が過敏になっている。琉偉の指が、唇が触れた箇所にパッと情熱の火花が散って、体中を熱くする。 「真理子……、愛してる」 「私も……、琉偉、ああ……、っは、ぁあ」  琉偉の指がそっと恥丘に触れた。下生えをくすぐられ、もどかしさに腰が揺れる。琉偉の指は愛に湿る真理子の肉花を指紋で撫でた。淡すぎる刺激に、真理子の鼻からうっとりと甘えた息が漏れた。 「ふぁ、あ……、は、ぁんっ、琉偉」  そっと脚を開けば、琉偉の指が内側に沈んだ。真理子のそこは愛液でたっぷりと濡れている。クチュクチュとかき混ぜられて、真理子は膝を立てて腰を浮かせ、もっと深くと仕草で求めた。 「ああ……、琉偉、もう……」  これ以上、焦らさないでと腕を伸ばすと、指先を軽く噛まれた。たったそれだけの刺激に胎内が震えて、愛液がさらにあふれる。それほど真理子の体は、過敏になっていた。 「真理子」  かすれた琉偉の声に、彼もまた苦しいくらいにうずいているのだとわかった。琉偉の腰が真理子の脚の間を進み、熱く硬いものが女陰に触れた。  待ちかねた息を真理子は吐き出す。はやく埋めてほしいと琉偉を見つめれば、キスをされた。唇を重ねたまま、琉偉がゆっくりと真理子に沈む。 「んっ、んぅ……、ふ、ぅ、あ、ああ……、あ」  真理子の内側が、ゆっくりと琉偉に開かれる。苦痛に似た表情の琉偉に、真理子は首を伸ばしてキスをした。彼の質量に、どれほど琉偉が情動を堪えているのかを知った。欲望のままに揺さぶられてもいいと、真理子は思う。腰を揺らして琉偉を促すと、首を振られた。 「愛している」  琉偉のささやきに、真理子の胸ははち切れそうになった。貪欲なよろこびが互いを支配している。それをあっさりと食い散らかしてしまうのは惜しいと、琉偉は思っているのだ。 「真理子……、愛している。愛を交わす、ということを俺に教えてくれたのは、真理子。――君だ」 「……琉偉」 「ずっと、俺の傍にいてくれ」  よろこびと快楽に喉をふさがれ、言葉が出てこない。真理子はうれし涙を瞳いっぱいにたたえてうなずいた。ポロリとこぼれ落ちたそれを、琉偉の唇が拾ってくれる。 「ああ……、琉偉、……すごく、しあわせ……、こんなにしあわせで、怖いくらい」 「俺もだ、真理子」  琉偉のすべてが真理子に包まれた。琉偉は動きを止めて、うっとりと息を吐く。しっかりと琉偉の腕に抱き止められた真理子は、彼が全神経を集中して愛を味わっているのだと感じた。真理子も深呼吸をして、琉偉の背中に腕を回す。  ふたりの体温が混ざり合い、ひとつになる。 「ああ……、真理子」 「琉偉」  呼び合い、見つめる。互いの瞳に劣情の嵐が吹き荒れていた。むさぼるようにキスをして、体を揺らす。自制など、もうできなかった。 「っ、ふ……、あっ、ああ、琉偉、ああ、もっと……、もっと、ねえ、琉偉、ああ」  真理子は髪を振り乱し、琉偉にしがみついて身もだえた。荒れ狂う情熱の炎が琉偉を求めて真理子を溶かす。彼の熱を包む隘路は欲望のままに蠢動し、より深く激しくと、琉偉を促す。 「っ、はぁ、あ……、あっ、ああ、あっ、琉偉、ああ、もっと、琉偉……、琉偉」  淫靡な悲鳴を上げて、真理子はひたすら琉偉を求めた。琉偉の動きが激しくなり、振り落とされまいと彼の腰に脚を絡める。 「ああ、真理子」 「ふ、ぁ……、ああ、琉偉、ふっ、ああ、ちょうだい……、琉偉を、深いところに」 「もちろんだ……、受け止めてくれ、真理子」 「うん、うん……、だから、はやく、あっ、ああ、あっ、あ、あぁあああ――っ!」  甘美な遠吠えを放ち、真理子は体を弓なりにしならせた。悦楽の爆発がふたりを襲い、真理子と琉偉は同時に弾ける。細く長い声を上げる真理子と、短く鋭いうめきを発した琉偉は、めくるめく快感に体を震わせ、いとおしさを噛みしめた。 「は、ぁ――、ああ」  陶然とした息が喉から漏れて、ぐったりとベットに身を沈める。琉偉は真理子を抱きしめたまま、真理子の頬に頬を重ねて荒い息を整えていた。痛いほどに激しい鼓動が、だんだんと落ち着いていく。汗ばむ肌から立ち上る愛しい人の香りを胸深く吸い込みながら、荒々しく吹き荒れた愛の余韻を受け止める。 「――真理子」  耳元でささやかれ、顔を向けるとキスをされた。幸福にとろけた琉偉の笑顔に、真理子も気だるい瞳で情愛の笑みを返した。 「怖いくらいしあわせだ」 「私も」  額を重ねて、またキスをした。琉偉を内側に抱きしめたまま、真理子は繰り返される琉偉のキスに応える。じゃれあうキスはすぐに、愛と欲望に満ちたものに育った。果てたばかりの琉偉の熱が、たくましさを取り戻す。真理子はビックリして琉偉を見つめた。 「離れていた時間が長すぎた。――もっともっと、真理子を味わいたい」  淫靡に濡れた琉偉の瞳に、真理子は劣情の炎をよみがえらせた。 「……おねがい、琉偉」  キスをして、体を揺らす。今度は湧き上がる欲望のままに、ふたりは踊った。 「あっ、あああ、あっ……、琉偉、あ、ああ――」 「真理子、ああ」  荒々しい呼気の合間にキスを交わして、むさぼりあった。  湧き上がる愛おしさのまま全身全霊をかけて相手を求め、自らを捧げる。自分の息なのか相手の息なのかわからなくなるほど、深く舌を絡めながら勇躍し、2度目の絶頂に悲鳴を上げた。 「っあ、あぁああ――っ!」  高く細い悦楽の悲鳴は、途中で琉偉の唇にふさがれた。くぐもった悲鳴の余韻が終わるまで、真理子の唇は琉偉におおわれていた。 「――ふ、ぅ」  余韻の痙攣が去って、けれどまだ胸をあえがせたまま、真理子は幸福に頬を上気させて琉偉を見つめた。 「真理子……、しあわせにする。――いや、しあわせになろう。ふたりで」 「うん、――うん」  大きすぎる幸福に、真理子は泣きながらほほえんだ。  そんなふたりを、窓辺のマーガレットが静かに見守っている。
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