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第14話

   * * *  まったく。本当に変わった女性だと、琉偉はケーキをほおばる真理子を見つめた。ランチのデザートに目を細め、心底しあわせそうにしている。わざとはしゃいで見せる女性は大勢いたが、真理子のそれは演技ではない。  まるで子どもだな。  好意的にそう感じた琉偉は食後のコーヒーに口をつけた。 「そんなにおいしいのなら、追加を頼むといい」  ハッとした真理子が恥ずかしそうに視線を落とし、ううんと首を振る。 「どうして? 遠慮をするな」 「そうじゃなくって……。食べ過ぎて、太っちゃったら困るから」  琉偉はおどろいた。 「気にするような体型じゃないだろう? むしろ、もうすこし肉づきがよくなってもいいくらいだ」 「ついちゃったら、落とすの大変だし」  琉偉は華奢な真理子の抱き心地を思い出す。骨ばっている、とまではいかないが、充分に細身だった。しなやかな四肢はやわらかく、胸のふくらみも弾力があって触り心地がよかった。だが、もっとムッチリしていても問題はない。 「日本の女性は、ダイエットが大好きだな」  もちろん、アメリカの女性も体型を気にしている。だが、日本女性の望む体型とは違っていた。 「大好きっていうか、そうじゃなきゃいけないっていうか……。細くないと、着られない服とかあるし」  そっと息を吐く真理子の姿に、本当はそこまで節制をしたいと考えてはいないのでは、と琉偉は受け止めた。 「別に、服のすべてが着られなくなるわけじゃないだろう? たった一回、ケーキを多く食べただけで体型がすぐに変わるものでもないさ」  真理子がムッと唇を尖らせる。 「その、たった一回って油断が続くのよ。今日はいいよねって言い訳をして、結局しょっちゅうになっちゃって、気がついたら落とせなくなってるの」  はあ、と憂鬱なため息を真理子がこぼす。 「経験があるのか」 「ないわ」 「実感がこもっていたぞ」 「……そういう人たちを見てきたのよ」 「そういう連中は、真理子からすれば自堕落に感じるのか」  真理子はちょっと考えてから、うんざりと言った。 「表面上はね」 「表面上?」 「本心では、とってもうらやましかったわ。そうやって好きなことを楽しそうにしているのって、いいなぁって。――自分で言うのもなんだけど、自制心が強い自分にあきれるの」  わずかに頬を膨らませる真理子を、琉偉は可愛いと思う。  自制心が強いと自負している彼女を奔放に乱れさせる俺……、か。  たっぷりとしたキスを受けて肌を熱くさせた彼女の声の甘さと肌の心地よさを思い出し、琉偉はニヤリとした。 「なら、いまはその自制が強い自分を置いておけばいい」 「えっ?」 「うらやましかったんだろう? そういう自分を開放するために、この船に乗ったんじゃないのか。それなら、追加で注文しよう」  言い終わらぬうちに琉偉は店員を呼んだ。 「ほら、真理子。――注文を」 「……でも」 「俺に遠慮をしているわけではないのなら、かまわないはずだ。――いつまでも店員を待たせるつもりか?」 「……それじゃあ」  おずおずと真理子がケーキを注文する。さきほど悩んで、あきらめた方のケーキだ。  やっぱり食べたかったんだな。  遠慮がちに、けれどとてもうれしそうにしている真理子に、琉偉は満足を覚えた。 「ああ……。こうしてズルズルと、だらしなくなっていくのね」 「だらしない、じゃない。自分に正直に、だ」 「人はそれを、だらしないって思うのよ」 「時と場合による。真理子は融通が利かないな」  サッと真理子の顔が赤くなった。怒りと羞恥に彩られて輝く瞳を、琉偉は美しいと思う。もっと怒らせてみたくなる。――が、いまはしないほうがよさそうだ。 「これで私がうんと太ったら、琉偉のせいだわ」  ツンと尖った真理子の唇にキスをしたくなった。  情動をこらえつつ、琉偉はニンマリとした。 「それはつまり、責任を取れと言っているのか?」 「えっ」 「俺のせい、と言っただろう」  しばらく呆然としてから、真理子は耳まで真っ赤になった。 「えっ、え……、それ、その、べつに……、そんなつもりじゃあ」 「そんなつもり? 俺はダイエットに協力しろと言われるかと思ったんだが、真理子は別のことを想像したのか。なにを想像したんだ?」  ニヤニヤと問うと、真理子は頭から湯気が出るんじゃないかと思うほど、さらに満面を朱に染めた。 「べ、べつになにも」 「なにもないって顔じゃない。――素直に白状してごらん?」  うう、とうなった真理子が照れ隠しに拗ねた顔をして、ポツリと言う。 「け、結婚……、かなって、思って」  したり顔で琉偉はうなずいた。  まさに俺は、それを望んでいる。真理子の反応からして、手ごたえは充分だ。 「でも、私が太ったら琉偉はきっと興味をなくすわ」 「それはどうかな?」 「絶対そうよ」  言い切る真理子の手を、琉偉は握った。 「……俺がどれほど真理子を魅力的に感じているのか、まだ伝わっていないようだな」  ビクリと真理子の手が緊張に震えた。しかしそれは拒絶ではなく、期待の反応だと琉偉は見て取る。 「食事の後、すこし運動をしようか。――ふたりきりの、特別な運動を」  低くささやけば、真理子は瞳をうるませてコクリとうなずいた。    * * *  食事を終えて手をつなぎ、客室へと導かれる。面映ゆくてしかたがない真理子は、自分の足元ばかりを見ていた。  こうしてきちんと、抱かれるために部屋に行くのははじめてだ。一度目は酔った勢い。二度目は唐突に……。  私、いまから琉偉に抱かれるために、部屋に戻ってる。  キュンと胸が苦しくなった。  イヤなわけじゃない。むしろ、うれしい。  彼とキスをしたい。  プールにいるときから、真理子はそう思っていた。  私、どうしちゃったんだろう。  ふとした瞬間に、琉偉に触れたくなる。キスをしてほしくなる。  そして、キスをされたらもっと先もしてほしくなるんだろうな……。  はぁ、と真理子は熱っぽい息を吐いた。  どうしてこんなに琉偉に惹かれているのだろう。どうして彼は、こんなに私を大切に扱ってくれるんだろう。 「……真理子」  艶やかな声に顔を上げれば、柔和な琉偉の笑顔があった。思わず見惚れた真理子の背中を、彼の手がそっと押す。  室内に入った途端、優しい彼の手は荒々しく真理子を抱きすくめた。 「っ、琉偉……、んっ、ぅ」  唇がふさがれる。キスをされながらベッドに運ばれ、横たえられた。おおいかぶさる琉偉の目が淫靡に光っている。真理子はドキリと跳ねた心臓の上へ、祈るように両手を重ねた。 「……琉偉」 「朝からずっと、真理子とキスをしたかった」  私も、と言っていいのだろうか。  迷う真理子の唇に、キスが落ちる。 「真理子も、だろう?」  恥じらいながら、真理子はうなずいた。うれしそうに琉偉が目を細める。 「水着姿を見た瞬間に、どれほど抱きしめたいと思ったか。――誰にも見せないように、どこかへ連れ込んで、俺だけのものにしたかった」 「それじゃあ、遊びに出た意味がないよ」  クスクスと真理子が笑うと、琉偉の唇が顔中にじゃれついてきた。キャアッとはしゃぎながら、真理子は琉偉の髪に指を沈ませる。そのキスがやがて官能的なものに代わり、真理子は唇を開けて琉偉の舌を招き入れた。 「んっ、ふ……、ぅ、んぅ、う…………」  上あごをくすぐられ、くすぐったさに舌を持ち上げれば、舌裏をまさぐられた。そうされると唇から舌先がはみ出して、琉偉の唇に軽く吸われた。 「ふぅ……、ぅんっ」  なんて甘くて優しいキスなのだろう。  真理子はうっとりとキスに酔い、琉偉の頭を両腕で抱えた。もっともっととキスをねだれば、琉偉はそれに応えてくれる。けっして真理子を置き去りにしない唇の愛撫に、真理子の肌はじんわりと熱を浮かべて粟立った。 「は、ぁ……、琉偉」  うわごとのように名を呼べば、琉偉が笑みを深める。それがとてもうれしくて、真理子の心はしあわせにふくらんだ。 「真理子」  低くささやかれると、自分の名前が特別なものに感じられた。琉偉の手が真理子の胸を包む。やわやわと布越しに揉みしだかれ、ブラジャーの下でツンと胸の先がとがった。それに触れてほしいけれど、自ら服を脱ぐのは恥ずかしい。もっと奔放に、大胆になれたらと思うのに、真理子はそうできなかった。  琉偉がいままで相手にしてきた女性は、平気で望みを訴えたのだろうか。 「――真理子?」  わずかな気分の沈みを琉偉は察したらしい。問われて、真理子は「ううん」と首を振った。 「なんでもない」 「なんでもなくはないだろう。俺のなにが不満だった? 教えてくれ。これはふたりの愛の行為だ。……俺だけが満足するものじゃない」  大きな手のひらに頬を包まれ見つめられて、真理子は痛いほどの幸福に体を熱くした。 「もっと大胆になれたらなぁって思ったの。琉偉のことがほしいのに、それをちゃんと表現できないのがくやしくて」  琉偉の目がまるく見開かれる。  嫌われちゃったかなと不安をよぎらせてすぐに、琉偉が「ああ」と感嘆の声を上げて真理子を抱きしめた。 「そんなことを気にしていたのか……。真理子、君って人は……」  軽く耳朶を噛まれて、真理子は身をよじらせた。 「あっ……、る、琉偉?」 「真理子が俺をほしがってくれていることは、ちゃんと伝わっているから心配しなくていい」 「……でも、その」 「うん?」 「琉偉がいままで相手にしてきた人は、もっと奔放だったんじゃない? 私のこと、堅苦しい、とか……、思わない?」 「思わない。――はにかみ屋だとは思うが、それもまた魅力的だ」 「本当に?」 「ああ、本当に」  もじもじとする真理子の首筋に琉偉が吸いつく。 「真理子のどこがうずいているのか、触れられたがっているのか、言われなくても伝わってくる。……それがとても、うれしいんだ。自分の望みを主張しすぎず、俺が触れるのを待っている」  その証明と言いたげに、琉偉の手は真理子の胸の先を指で探った。ブラジャーごしの刺激は淡すぎて、余計にもどかしくなる。 「っ、はぁ……、琉偉」 「真理子は真理子のままでいいんだ。――愛しているよ、真理子」  強い衝撃が真理子を貫いた。  私は、私のままでいい。  真理子の内側に居座っていた、冷たく強固な気負いが溶けていく。 「私も……、琉偉が好き」  うん、とつぶやいた琉偉のキスを受けながら、胸をまさぐられる。真理子は怖いくらいのしあわせに震えつつ、自ら上着に手をかけてブラジャーのホックを外した。大胆な真理子の行動に、琉偉の眉が意外だと言いたげに持ち上がる。 「……直接、触れてほしいの。琉偉にも触れたい」  うなずいた琉偉が身を起こし、上着を脱ぎ捨てた。たくましく分厚い肉体が現れて、真理子は赤くなりながらも彼に見とれた。 「真理子も」 「うん」  不要なものを脱ぎ捨てると、改めてキスを交わす。素肌の背中を手のひらでこすられて、真理子は官能の息をこぼした。琉偉の胸に真理子の乳房が押しつぶされ、乳頭が刺激される。そんなかすかな刺激さえ、真理子を陶然とさせた。  琉偉の手が肩に触れ、鎖骨を滑って乳房に落ちる。やわらかな胸で琉偉の指を受け止めた真理子は、彼の肩に触れて背を仰け反らせた。 「あ、ああ……」  琉偉の唇に胸の先を含まれて、舌先で遊ばれたり色づきの輪をなぞられたりすると、そこから広がる甘美な刺激が下肢に走り、真理子の太ももを震わせる。下肢がうずいて胎内がうるみ、じわりと愛蜜が染み出した。 「は、ぁあ……、琉偉、ああ……、琉偉」  繰り返し呼びながら、真理子は琉偉の腕をさすり、背中に手のひらを這わせた。たくましい体は熱く、躍動する筋肉が指に伝わる。  凛々しい獣のようだと、真理子は思う。本能に従う獣に、私もなればいい。――ただ、琉偉を求める獣になって、素直に彼を感じていればいい。 「っ、あ、琉偉……、あ、はぁ、あっ、あ」  左右の胸を琉偉の唇と指で愛撫され、真理子は自然と脚を開いた。琉偉の体が膝の間に入り、引き締まった腰に脚を絡めると、彼の熱が女陰をかすめた。 「んぅっ」  わずかな刺激に真理子は震え、琉偉にしがみついた。琉偉は真理子の乳房にたわむれながら、軽く腰を動かして熱の先で真理子の敏感な部分を撫でる。 「は、ぁあっ、あ……、琉偉っ、あ、あ」  彼の熱に擦られるたびに愛液があふれて、うずく箇所にもっと刺激がほしくなる。真理子は腰をくねらせて、琉偉の熱に女陰をこすりつけた。 「はっ、あ、ああ……、あっ、ああ」 「大胆じゃないか、真理子」  クスクス笑う琉偉の息が、濡れた胸先に触れるだけでも気持ちいい。淫靡に咲いた真理子の肌は、わずかな刺激をも恍惚の波に変えた。 「ああ……、琉偉、っ、ねぇ」  愛液ですっかりほとびた女の花に、もっとちゃんと触れてほしい。  濡れた瞳を揺らして、真理子は全身で訴えた。わかっているよ、と琉偉のキスが額に触れる。  乳房にあった手が真理子の腰を滑り、琉偉の唇もそれを追いかけて下がった。琉偉の舌はヘソとたわむれ、指は真理子の肉花に触れる。  クチュリと濡れた音がして、真理子は期待に胸を膨らませ、脚を大きく開いた。  琉偉の指が奥へと沈み、花びらをかきわける。愛液を混ぜられた真理子は顎をのけぞらせ、甘いすすり泣きをこぼした。 「は、はぁ、あ……、ああ……、あ、……っ、琉偉」  彼の指は猫の喉をくすぐるように、やわらかな刺激を真理子に与える。もどかしくて、けれどそれがどうしようもないほど気持ちがよくて、真理子はうずく乳房を掴んだ。 「っ、ん……、ふ……、琉偉」  胸の先が震えている。そこを刺激されたいけれど、琉偉の手は真理子の下肢を開いていた。――でも、唇がある。胸のうずきを慰めてもらえる。 「……ねえ、琉偉」  願いを込めて、真理子は琉偉を呼んだ。ささやかな胸の谷間の向こうに、いたずらっぽく光る琉偉の瞳がある。 「欲張りだな、真理子は」  とがめられたと感じた真理子が下唇を噛めば、琉偉の舌に慰められた。 「それでいいんだ。――もっと、俺をほしがってくれ」 「……琉偉」  舌先で唇をなぞられ、薄く開くとキスで甘やかされた。緊張を解いた真理子の乳房に、琉偉の指がかかる。下肢をまさぐるのとは別の手が真理子の胸先をつまんで転がし、琉偉の唇がもう片方を刺激する。 「んぁ、あっ、は……、はぁ、あっ、ああ」  うずく箇所のすべてを愛撫され、真理子は身もだえた。琉偉はわざとらしくピチャピチャと音を立てて舌を動かし、愛液をクチュクチュとかき鳴らした。  音で意識を乱された真理子は、ますます脚を大きく広げ、より深い刺激を求めた。 「ふぁ、あっ……、ああ、琉偉……、んっ、ああ、ねえ、琉偉」  もっと奥に触れてほしい。指よりも熱くたくましいもので貫いてほしい。  腰をくねらせ、しとどに濡れた女陰を強調する真理子の望みを交わして、琉偉は真理子の熱をさらに高めようとする。花びらとたわむれていた指が動き、花芯を見つけた。指の腹でつままれ、しごかれた真理子は腰を浮かせて高く細い悲鳴を上げた。 「ひっ、あぁあ――、っは、ああ、琉偉っ、ああっ、琉偉」  必死に琉偉にしがみつき、強い刺激に身もだえる。あふれる愛液は真理子の尻を伝い、シーツを濡らした。琉偉が枕に手を伸ばし、真理子の腰の下に敷く。快感のあまり浮いていた真理子の腰が、やわらかく支えられた。 「ふぁ、あっ、琉偉……、んっ、琉偉ぃ、あ、ああ……」  とてつもなく気持ちがいいのに、胎内が不足を訴えている。ぽっかりと空洞を開けて待ち構えている場所を、琉偉で埋めてほしかった。 「ねえ、琉偉……、お願い、ほしいの」  強い快楽に涙をこぼして懇願すれば、琉偉の指が下肢から抜けた。 「ああ……、俺も、限界だ」  荒く乱れた琉偉の息に、彼もまた強く求めてくれているのだとわかった。 「琉偉」  首を伸ばせばキスを与えられた。琉偉の腕に脚を抱えられる。たくましい熱が震える花びらに触れて、ゆっくりと入り口をたしかめる。 「ねえ、琉偉」 「しぃっ……。真理子の花を味わっているんだ。もうすこし、ガマンして」  ゴクリと喉を鳴らして、真理子はうなずいた。琉偉の先端が入り口を浅くこするたび、真理子は鼻にかかった息をもらした。クラクラするほど甘い刺激に、真理子はちいさく肌身を震わせる。  琉偉の熱は待ち遠しがる奥を焦らして、ほんのわずかしか進まない。ジリジリと進んでは止まってを繰り返す、浅い挿入に真理子はますます官能を高めていった。  このままでは、意識が白い霧に包まれ溶けきってしまう。  そう確信をした瞬間、琉偉に奥まで貫かれた。 「っは、ぁあああ――っ、あ、あ」  唐突な動きに真理子は目を見開いて、獣の遠吠えのような声を上げた。望むものを得られた奥が、歓喜の蠢動で琉偉をもてなす。それは真理子の快楽をさらに掻き立て、琉偉の呼気を熱く乱した。 「はっ、はぁ、あっ、琉偉……、ああ、琉偉」 「んっ、真理子……、ああ、最高だ……、真理子」  真理子は彼の刻む旋律から振り落とされないように、手足を琉偉に絡めて体を揺らした。激しい律動の波にさらされ、歓喜の声がとめどなく喉から漏れる。 「ああっ、ああ……、琉偉っ、ああ、琉偉……、はぁあっ、はぅう」  琉偉が腰で円を描く。隘路を熱でえぐられた真理子は、イヤイヤと首を振った。 「気に入らなかったか?」 「んっ、違うの……、き、気持ちよすぎて、おかしくなりそうで……」 「なら、よかった」  隘路を押し広げるようにグゥンと熱が弧を描き、真理子はまたもや悲鳴を上げる。 「ひぁあっ、あ、はぅ、うう……、ダメ、それ……、っ、ダメぇ」 「気持ちいいんだろう? おかしくなってしまえばいい。……俺にもっとおぼれて、真理子」 「んああっ、琉偉、琉偉……、あああっ」  意識が焼き切れるのではと思うほどの激しい快楽に、真理子は翻弄された。 「琉偉ぃ……、ああ、もう、ダメ、ああ……、気を失っちゃう……、こんなの、ああ、あっ、ああ」  強すぎる快感に泣きながら訴えれば、そっとほほえんだ琉偉が真理子の鼻先に唇を押し当てて、グッと深い場所を貫いた。 「っ!」  真理子の目の中に稲妻が光った。 「っ、はぁああぁああ――っ!」  突然の豪雨のように、激しく弾けた真理子の下肢から多量の愛液があふれ出る。それに合わせて琉偉がうめき、己を放った。 「ぅ、くうっ」  自分の叫びの合間に琉偉の絶頂の声を聞いて、真理子はうっとりとほほえんだ。極まりの幸福に震える肌を重ねて、笑みを浮かべた唇を合わせる。しっとりと汗ばむふたりの肌は、どれほど夢中で相手を求めたのかを物語っていた。  ゆっくりと冷めていく熱を惜しんでいた真理子は、自分の指が琉偉の背に食い込んでいたことに気づいた。サッと顔に後悔を走らせた真理子の頬に、琉偉の唇が触れる。 「真理子?」 「……ごめんなさい」  キョトンとする琉偉に、おずおずと「あの、背中……」とつぶやくと、琉偉はうれしそうに真理子の耳を噛んだ。 「あっ」 「真理子がそれくらい、俺におぼれてくれたって証拠だ」 「……痛く、ないの?」 「真理子がくれたものだから」  どう受け止めていいのかわからず真理子が奇妙な顔をすると、琉偉がクスクス笑いながら、真理子の首に噛みついた。 「っ……、ん」 「悪いな、と思ったのなら、もうすこし俺に付き合ってくれ」 「――え?」 「まだ、もっと……、真理子がほしい」  そう言った琉偉の熱は、さきほど果てたばかりのはずなのに、真理子の中で隆々と存在を主張していた。彼のたくましさに赤くなりながら、真理子がちいさくうなずくと、琉偉がキスとともに「ありがとう」と真理子の口内にささやきを注ぐ。  ふたりはゆっくりとキスを深めて、体力の続く限り相手を求め、声を限りに愛を叫んだ。
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