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1-16:ひねくれ処女の強がり

「な、ななな何言って……」 「いやいや、もともとそういう話だっただろ? 忘れちゃった?」 「待ってよ、だって……」 「往生際が悪いなー、ほんと」  ――足の間に、何か触れる。  熱くて、硬くて、そして……なんだかどくどくしているような。  これはまさかなのだろうか。まさかのまさかなのだろうか。ああもう頭の中がいっぱいでさっきまで以上に何も考えられなくなる。  だってこんなのはおかしい。おかしい、おかしい。 「私みたいな女は抱けないって、あんたが言ったんじゃない――!」  思わず悲鳴のような声が漏れた。  あと少しで『それ』が私の中に入ってきてしまう。まだ誰にも許したことのない私の身体の中に。 「ああ、まぁ言ったな。でもそれ、一個付け加えんの忘れてたんだわ」 「え……」 「お前みたいな女は誰も抱かねぇよ。……俺以外は」  菅原の体温が近付く。足を更に広げられ、あてがわれたものが入口を押し広げて――。  ――そのとき、ぴりりと電話の音がした。  菅原がそのぎりぎりの状態のまま硬直する。  もちろん、私もぽかんと菅原の顔を見つめてしまった。  どこか悔しそうな顔をしている。まぁ、これだけいろいろしておいて我慢というのもかわいそうといえばかわいそうだけれど。 「……早く出なさいよ。あんたの携帯でしょ」 「いや、普通ここで出る? お前だって我慢できないだろ? ね? ね?」 「まだ携帯鳴ってるけど?」 「……はぁ、ほんっとに最悪のタイミング」  足から菅原の手が離れていく。もちろん『あれ』の気配も遠ざかっていった。  そのことに驚くほどほっとしている自分がいる。これも当たり前だろう。こんなところで、こんな奴に処女を奪われるなんて冗談じゃない。 「……はい、もしもし。菅原です」  背を向けた菅原が電話に応えている。心なしか肩を落としているように見えるのは気のせいだろうか。でもいい気味だ。散々人の身体を弄んだ報いを受けるといい。  菅原が誰かと話している間、私はまだちょっと熱の残る身体を急かして服を身につけた。  下着もきちんと履こうとして、自分のそこがぬるりと溢れていることにぎょっとする。  ……こんなに濡れるものなの?  確かに、もうわけがわからないくらい――気持ちよかった。もうそれは認めよう。私はあいつに感じさせられて、人生初の『イク』という経験までしてしまった。なるほどああいう感じかと、冷静になった今振り返ると少し不思議な気持ちになる。  辺りを見回して枕の近くに置いてあったティッシュを取る。そして、自分の溢れたものを丁寧に拭った。なんだかこの行為、とてもバカバカしい。いや、必要なんだろうけど。  落ち着いてしまえばどうということはない。今度こそきっちり下着も履いて準備を整える。  菅原はまだ電話していた。  だから、自分の荷物をこっそり取って――。 「それじゃ、私帰るから……!」  私は後ろを振り返ることなく、その場から逃げ出したのだった。
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