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4-12:焦り焦られ前途多難

 「……ふにゅ」  ベッドに下ろされた私の口から、思ってもいなかった変な声が漏れた。  ここは私の家? ちょっとだけベッドが大きいような気もするけれど、まぁいいか。  ふわっふわでいい具合に眠気を誘ってくれるね。  んん、でも化粧を落とさなきゃ。それから着替えもして……。 「……まーだ酔ってんのか」 「ん……?」 「……この間はもっとまともだったのに。俺と二人っきりだとそこまで酔えねーってか」 「すが……わら?」  見下ろしてくる誰かさんは逆光になって顔がよく見えない。  ぺたぺた顔のある場所を触ってみると、指の先を噛まれた。 「誰だと思って、ホテルまで来てんの」  ホテル?  ここ、私の家じゃない? 「……夢?」 「……はぁ?」  もう一回ぺたぺた触る。もう噛まれなかった。 「あんた、夢なの……?」 「なに言ってんだ、お前――うわっ」  引っ張ったら菅原がベッドに飛び込んできた。  それがおかしくて笑ってしまう。 「くっそ、この酔っ払い……っ」 「すがわらぁ」  くっついて顔を押し付けてみると、最近になって覚えてしまった菅原の匂いがした。なんとも言えない男の人の匂い。  ちょっとだけどきどきして、お腹の奥が不自然に熱くなる。 「……んふふ」 「……おい」 「すがわら、いーにおいするね」 「お前のが、もっと」 「しゃわー、あびたほうがいい?」  ろれつがうまく回らない。さっきよりもアルコールが私を侵食している。  だから、自分がなにを言ってるのか、なにをしてるのか、なにを考えてるのかもだんだん曖昧になっていった。  夢かもしれない、なんて都合のいい考えに溺れる。 「浴びたいなら好きにすればいいだろ」 「あびたら、またきもちーことしてくれるの?」 「……お前、自分がなに言ってんのかわかってねーな?」 「すがわらにされたい」  もっと、菅原にくっつく。  そうすると更に匂いが強くなった気がした。  私を……興奮させる、悪い男の人の匂いだ。
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