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4-11:焦り焦られ前途多難

「ピーチウーロンでお待ちのお客様」 「あ、はーい」  準備してあったのかと思うくらい素早く飲み物が運ばれてくる。  すぐに受け取って、今度はゆっくりちびちび飲み始めた。  田浦さんと中岡さんは私を挟んでなにか話しかけてきていたけれど、なんとなく話を楽しめる気分じゃなくて聞き流してしまう。  好きな食べ物とか、出身とか、そういうどうでもいいことを聞かれた気がする。  誰かとする会話って、こんなに生産性のないものだっけ。  へらへら笑ってるだけで終わるようなものだっけ……。 「んー……」  口の中がものすごく甘い。  テーブルに残っていたからあげを手でつまんで食べる。  笑われたような気はしたけれど、どうでもよかった。 「……ふあ」  あくびを一つすると、お腹から全身に酔いが回っていく。  心地よい温かさのせいでとろんと眠い。  ……ああ、今日が最後のチャンスだったのに。 ***  気が付けば合コンはお開きになってしまっていた。  気を抜くとその場に座り込んでしまうくらい、今は足に力が入らない。  それを、田浦さんと中岡さんが支えてくれていた。  この人たちだって酔っ払いの女を介抱するよりやりたいことがあったはずなのに、なんて申し訳ないことをしているんだろう。  わかってはいるのだけれど、一人で立つのは難しかった。  こんなに飲むつもりじゃなかった、なんて言っても遅い。  でも、と思った。  こういうのは合コンでありがち。  そう、いわゆるお持ち帰りというやつ。  どうせ素面のときに興味を引いてもらえないなら、もうこんな状態をおいしいと思ってしまう男でもいいかな、とか。  それで捨てられてしまう可能性の方が高いけど、私にはお似合いかもしれない。  好きでもないはずの菅原に身体を許そうとする、どこかおかしくなった私には。 「浅木ちゃん、送ってくよ。タクシー呼ぶから」 「ありがとう……ございます……」 「あっ、田浦、お前……」 「残念、俺のが先」  ……もう、いいよ。  中岡さんが離れていく。代わりに田浦さんがさっきより私に密着した。 「浅木ちゃん、俺――」 「浅木」  近付いていた田浦さんの顔が離れていく。  この声、知ってる。  でも頭がはっきりしなくて……。 「……俺が家まで送るから」  最後にそれだけ聞こえて、その誰かが私を横抱きにしてくれる。  ああ、お姫様抱っこなんてものに憧れる歳じゃないのに、どうしてこんなにどきどきするんだろう。
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