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4-10:焦り焦られ前途多難

「ルックス良し、年収良し、将来性あり。あれで恋人なしって嘘じゃねぇの?」 「遊んでそうだもんなぁ……」  いつの間にか田浦さんも中岡さんも私を口説かずに菅原の愚痴を言い始めた。  私もその愚痴に乗りたい。  と、思ったけれど。  ――遊んでそう。  そんなたった一言がやけに胸を突いた。  私だってきっとあいつはそういうタイプなんだと思ってる。むしろあれで本当はずっと片思いしてて一途なんです、なんて言われる方が信じられない。  だってあいつは、私に手を出した。  恋人でもなんでも……好きな相手でさえない私に。  ぎりぎり最後の一線は超えていないものの、それも時間の問題だといえる。  というか、どうして私はあれを拒まないんだろう。あいつが強引だからって、それこそ思いっきり蹴り飛ばすとか(どこをとは言わないけど)やりようがある。  受け入れてしまうのは私が――。 「ま、そんなことより! 浅木ちゃん、もっと飲も?」 「わわっ」  田浦さんが私の肩を抱いて、お酒がたっぷり入ったグラスを押し付けてくる。  ふわっと香ったアルコールは、グラスに入っている飲み物からというより、田浦さんから感じられた気がした。  まぁ、でもここは酔った方が楽しいに決まってる。  変なことを考えてしまわないように。 「よーし、じゃあイッキしちゃいまーす!」 「うっそ、マジ? 浅木ちゃんやるぅ!」  中岡さんまで乗ってきてやんやともてはやされる。  悪い気分じゃない。向こうで菅原があからさまに嫌な顔をしたことを除けば。 「……んっ……くっ……んくっ……っぷはぁ!」  勢いよくウーロンハイを飲み干すと、ぐっとお腹の奥が重くなった。  そんなに酔いが駆け抜けた気はしなくて、もっと突き抜けたくなる。 「次! ピーチウーロンくださーい!」 「ええっ、大丈夫?」 「よゆーです、よゆー! 仕事の疲れ、全部忘れさせてください!」 「あははっ、今日はそういう飲み会じゃないって! 合コン、合コン!」 「どーせ持って帰ってくれる人はいませんし!」 「そんなことないってー」  次の飲み物を頼んでもらい、だいぶ陽気な気分になる。  きっと菅原の周りに集まるような子はこんな馬鹿げた飲み方しないんだろうな。  もっとかわいく、「お酒なんて飲めないよ」って甘えたりするんだろうな。  ……そんな女の子になりたかったな
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