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1-12:ひねくれ処女の強がり

 私がそんなことになっているとも知らず、菅原はやけにいやらしいキスを繰り返す。舌を絡めて、頬の内側を舐めて、上あごも歯列も、全部味わわれる。  ちゅ、と舌を吸われた。それに合わせて私の背筋もぞくりとする。 「待っ……すが、わらぁ……」 「……何?」 「息できないから……くるし……」 「……わり」  短い謝罪が聞こえて、唇を解放される。ようやく思い切り息ができてほっとした。  頭に空気が入ってくると、いっきに視界がクリアになる。……と思ったけれど、なんだか滲んで菅原の顔が見づらい。 「なん、で……こんなキス……慣れてんの……」 「お前はキスぐらいでなんでそんな溶けちまってんの?」  まだ熱の残る唇に菅原の指が触れる。つつ、と濡れたそこをなぞられると、キスの感触がよみがえって顔が熱くなった。  ばか、と言ってやりたい。人のファーストキスを奪うなんて、とんでもない奴だ。知らなかったとはいえ許すまじ。このやらしいキスが菅原の許せない部分ランキング上位に食い込んだのは間違いない。  そう思う反面、キスが終わったことをちょっと物足りなく思う自分もいた。なんだか気持ちよくて、頭がふわふわして……。……もっとして欲しくなる。相手は大嫌いな奴なのに。 「……脱がすぞ」 「や、やだ」 「やだじゃない」 「あっ……」  今度こそバスローブを脱がされてしまう。  ああ、私のばか。呑気に大人のオモチャなんて見てないで、さっさと着替えてしまえばよかった。そうしたらこんな風に……こいつに裸を見られなくてすんだ。  バスローブの前がはだけて、菅原の目の前にさらされる。身体を隠したいのに、キスのせいか痺れて動かない。キスしただけで相手が痺れるって、こいつは毒蛇かなにかだろうか。 「み……見ないでよ」  そう言うのが精一杯。だってまさか、菅原が食い入るように見てくるとは思わなかったから。 「そ、そんなに珍しい? 童貞には刺激が強すぎたかもね」 「お前、まだそれ言う?」 「事実でしょ。女の裸に見とれちゃって恥ずかしくないの?」 「別に? お前の身体ならいくらでも見てられるよ」 「なっ」  頭おかしい。そう言ってやろうと思ったのに、菅原の手が私の胸に触れた。  今までで一番びっくりして勢いよく首を横に振る。 「さささ触らないで!」 「ちょっとだけちょっとだけ」 「思いっきり揉んでるじゃない! ばか! 変態っ」 「さっきもそれ言ってたよな。語彙力ねーの」 「ううううるさい……!」  私よりもずっと熱い体温が胸に伝わってくる。菅原の手は大きくて、そこそこの大きさをした私の胸もすっぽり収まっていた。  小さい、なんて思われていなければいいけど。そんなどうでもいい心配ごとを考えてしまったのは、多分、あまりにも今が現実的じゃなさすぎて混乱しているせいだ。
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