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1-11:ひねくれ処女の強がり

「な、に」 「時間もったいないでしょ。ちゃっちゃとやりますよ」 「え、待って、えっ」  菅原の顔が近付く。ぎゅっと目をつぶると、急に身体が浮いた。  菅原が私を抱き上げたらしい。びっくりして思わずすがりついてしまう。 「や、やだ。危ないでしょ」 「腰抜けて動けねぇのかと思ったんだもん」 「誰が!」 「お前が」  ふ、と笑った顔が近い。迂闊にもその表情にどきっとしてしまって死にたくなる。なんでこんなやつに私がどきどきしなくちゃならないの! 「ベッドまで運んでやるよ、お姫様」 「やっ……危ないってば……!」  そのまま言葉通りベッドまで連れて行かれてしまう。  思いがけず優しくされて、ますます胸が騒ぎ始めた。  なに、この感じ。すごく……落ち着かない。今すぐこいつを張っ倒して逃げ出したいけど、それをすれば負けたことになる。 「じゃ、やるか」  菅原がベッドに膝を乗せると、ぎしっと不穏な音がした。  やるかって……ナニを? ついにその瞬間が来るの? 「ま……待って!」  おかしい。それはおかしい。予定ではこの辺で「やっぱり無理でした」って頭を下げられるはずだった。この先のことなんて何も考えてないし、何が起きるのかもよくわからない。これは非常にまずい。 「待たねぇって。観念しろよ」 「やだ! ばか、触らないで!」  手首を掴んでくる菅原の手を払おうとする。悲しいかな、あっさり掴まれてそのまま――ベッドに押し倒されてしまった。 「や……」  両手をやすやすと頭の上でまとめあげられ、腰で結んだバスローブの紐に触れられる。 「ぬ、脱がしたらセクハラで訴えるんだから……」 「この状況で何言ってんの。諦めてちょーだい」 「ほ……本気? あんただって引くに引けなくなっただけでしょ? 今ならまだ冗談ですませてあげるから、もう――」  その先を言えなくなったのは、なんてことはない、唇を塞がれてしまったせいだ。  ――私、菅原にキスされてる。  ぎゅうう、と一気に全身が強張った。待って、キスも初めてなんですけど。 「や……ぁ、んん……っ」  逃げようともがく私の顎を長い指が捉えて固定する。塞ぐだけならまだいい。まだぎりぎり許す。だけど、唇を割って入ってきたこの生ぬるい感触は……。 「あっ……ふ……」  なにこれ、なにこれ、なにこれ! ぬるってする! 口の中、いっぱい舐められてる!  悔しいぐらい頭が真っ白になった。  舌の絡み合うくちゅくちゅという水音が響いて、その度にじん、と身体の奥が痺れる。  角度を変えたキスは息継ぎの暇さえ与えてくれなくて、すぐに目の前がくらくら揺れ始めた。
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