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1-10:ひねくれ処女の強がり

 わわわ、と妙な声を上げたのは許してほしい。だってこんなもの見たことない。そもそも大人のオモチャをこんなに間近で見たのも初体験だ。……こんなに大きいものなんだとちょっぴり怖くなる。つまり男性の、その、そういうのもこんな感じというわけで。  ばたん、とすぐに閉じてしばらく頭を冷やす。落ち着こう。私が冷静さを失うとろくなことにならない。こんなわけのわからない状況で自分を見失ってはだめだ。せっかくあいつに大して優位になってるのに、隙を見せたらあっさり足元をすくわれてしまう。  偽冷蔵庫の前でしゃがんだまま考えを巡らせる。  今、菅原はシャワーを浴びている。その後をシミュレートしよう。  多分あいつは普通にこっちに出てきて、きっと「よし、始めるか」なんて強がるに決まってる。ええどうぞどうぞ、できるものならやってみなさい。私はそうやってあいつをおちょくってやればいい。  ……そんなにうまくいく?  困るのはシャワーを浴びた後に何をどうするのかということ。いやいやもちろんわかってる。男女がこう絡み合って、うん。でも、そこまでの過程というか、そういうのは……。  こんなことなら学生時代にきゃっきゃしながら回されてきた雑誌に目を通すんだった。なんともむずがゆいタイトルの少女漫画を読みあさっておくんだった。映画でそういうシーンになったとき、さりげなく目をそらすのもやめておけばよかった。もっとネットを活用して余計な知識を叩き込んでおくんだった! 「大丈夫……だよね」 「何が?」 「ひゃ」  いきなり声が聞こえてぱっと振り返る。  いるのはもちろん菅原。だけど……上半身に何も身につけていない。 「なっ、ふ、服着てよ! 変態! ばか!」 「はぁ? なに言ってんの」  ぐぬぬ、鼻で笑われて悔しい。  そうだよね、今のはちょっと違ってた。これからすることするんだから、上裸だろうがなんだろうが関係ない。……いや、しないけど。  ……にしても、だ。  認めたくはないけれど、どうしてみんながこいつを目で追いかけるのかちょっとわかった気がしてしまう。お風呂上がりのせいか、ちょっとだけ肌が濡れているのが色っぽい。触れてもいないのに体温を感じるような気もした。  そして、特に私が目を奪われてしまったのは。 「……腹筋割れてるんだね」 「……まぁ、うん」 「そうなのかなって前から思ってたの」 「えっ」  菅原がびっくりしたように声を上げる。この私が珍しく褒めてあげたんだから喜んでよ。 「浅木ってそういう趣味あったんだ? なに、いっつもオフィスで俺の裸を妄想してたわけ? やだー、やらしー」 「そ、そういうわけじゃ――」  反論しようとした私の肩に菅原の手が触れた。びくっと身体が跳ねてしまう。
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