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1-9:ひねくれ処女の強がり

「おい」 「ひっ!」  ドアの向こうからあいつの声が聞こえてきた。びっくりして袋を取り落としてしまう。 「な、なに! 入ってこないでよ!?」 「入らねぇよ。……お前、ローション開けんなよな」 「ろーしょん?」 「あるだろ、そこに」  ありませんけど。そう言いかけて、濡れた床に落ちたそれを見る。もしかしてこれのこと?  そろりと拾い上げて袋の説明を見てみる。ローションとは書いていないけれど、お肌がすべすべだとかなんだとかそんなことは書かれていた。他に見当たらないし、きっとこれがそうなんだろう。  もちろん、私だって知識くらいはある。ただ、実物を見たのが初めてなだけで。 「これがローション……」 「ってか、さっさとあがれよ。後が詰まってるんだからさ」 「そんなの私に関係ないし。そこでぼーっと突っ立って待ってれば?」 「……五分以外に出て来なかったら俺も入るから」 「やだ! 絶対やだ!」  持っていたローションをドアに投げつける。冗談じゃないとばかりに菅原が逃げていくのがわかった。  急いでソープを手に身体を洗い始める。あいつと一緒に仲良くお風呂なんて冗談じゃない。    しばらくして私はきっちり五分以内に用事を済ませ、部屋に戻った。  たった一つしかないベッドには、なんだか硬い顔つきの菅原がいる。 「お風呂、どうぞ?」 「……お前、バスローブで出てくんなよ」 「あらあらー? これから私を抱くんでしょ? それなのになんでそんなに怖気づいちゃってるの?」  言いながら内心舌打ちしていた。着替えを持って行かなかったことに気付いたのはお風呂をあがるときだったんだってば。私だってあんたの前でこんな格好したくなかった。 「それとも、なに? 抱けないって言った女に本気で欲情しちゃった?」  こうなったらもっと攻めてやれ! そんな思いで言ったけれど、珍しく菅原は言い返してこなかった。  なんとも言えない表情で目を逸らして、何も言わずに浴室へ向かってしまう。  その反応の意味はよくわからなかったけれど、とりあえずなんだか勝った気がした。 「せっかくだし……」  着替えの前にゆっくり部屋を見てみることにする。さっきはさっさと浴室へ向かったせいでよく見られなかった。  ベッドは大きいものが一つ。ここで事に及ぶんだろうな、というくらいはさすがにわかる。 「あ、冷蔵庫あるじゃん。なんか飲み物ないかな?」  小さいのはビジネスホテルとあんまり変わらない。  だけど、開けてびっくりした。 「な、何これ……」  並んでいるのはいわゆる大人のオモチャ。全然冷蔵庫じゃない。
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